インタビューなど

強化のフロントライン⑧ 全国ホープスの評価

2018.09.11

<強化のフロントライン>


kiwameru01-prof.jpg〜宮﨑強化本部長に聞く日本の強化策〜

日本の最前線ではどのような強化が行われているのか。そのさまざまな方策について、日本卓球界の強化の長である宮﨑義仁強化本部長に聞く本企画。今回からは、夏のさまざまな全国大会を視察した上での宮﨑強化本部長の評価を紹介していこう。
 


●指導者の努力と動画によるイメージで小学生のレベルが向上
 

 
先進的なプレーを見せた男子団体優勝T.Cマルカワの丸川
 

 7月から8月にかけて、日本国内でさまざまなカテゴリーの全国大会が開催されます。私も可能な限り会場に足を運びました。そこで、今回からは、主にジュニア以下の世代の夏の全国大会にスポットを当て、大会を視察して感じたことを述べていきたいと思います。
 今回は、8月14〜16日に行われた全国ホープス卓球大会を視察した上での所感を述べましょう。

 日本卓球協会は、世界で通用するような選手を育成するためには、幼少期からの継続的な強化が必須だと考え、2001年にホープスナショナルチームを発足し、小学生の強化に乗り出しました。小学生の競技レベルを見る大会は、全国ホープス選抜卓球大会や全日本卓球選手権大会ホープス・カブ・バンビの部などいくつかありますが、小学生のクラブチーム日本一を決める全国ホープス卓球大会も外せない大会です。

 今年の全国ホープスを視察して率直に抱いた感想は、「小学生のレベルがかなり上がっている」ということです。
 10年ほど前の同大会では、男女を問わず多くの選手が「ツッツキを相手のフォア側に送り、相手に打たせてブロックで振り回すか、相手の打ちミスを待つ」という消極的な戦い方をしており、その戦術でミスのない方が勝つ、という内容の試合がほとんどでした。しかし、今大会では、自分から積極的に攻撃を仕掛けることはもちろん、チキータやカウンタードライブなども高い精度で行われており、10年前に比べて小学生たちのプレーが見違えるほど攻撃的に進歩していました。
 もちろん、現代の卓球は日に日に攻撃化が進んでいるので、小学生たちもそれにならうのは当然の流れですが、今大会ではバック側に来たロングサービスをバックハンドドライブでレシーブ攻撃するなど、世界のトップ選手たちが行い始めている最先端のプレーを小学生たちが見せていたことが目を引きました。

 小学生たちのプレーが進化した要因として、ホープスナショナルチームが果たしている役割は小さくないと思いますが、そのほかでは「指導者のレベルが上がった」ことが大きいでしょう。全国の指導者の方々が現代卓球の流れやそこで勝つために必要なことをしっかり学び、日々の指導に落とし込んでいるからこそ、子どもたちの競技力も進歩したといえます。
 また、指導者の努力に加え、「動画」も小学生たちのレベルアップに大きく貢献していると思います。卓球に限らず、スポーツ全般に言えることですが、上達するためには日々の練習で技術や戦術を磨くことに加え、イメージを持つことが欠かせません。例えば、「水谷隼(木下グループ)のように華麗に動きたい」とか「張本智和(JOCエリートアカデミー)のようなバックハンドドライブが打ちたい」というイメージを明確に持って練習に取り組めば、体は自然とそのイメージに近づいていくものなのです。
 今は、トップ選手たちのプレーの動画をいろいろなところで見ることができます。そうして、動画によってトップ選手たちの世界基準のプレーをより身近にイメージできるようになったことも、小学生たちの競技力向上に大きく寄与しているでしょう。

 
(写真/取材/文=猪瀬健治