大会報道

2009横浜大会6日目:5月3日

2009.05.04

<世界卓球選手権大会>

 大会6日目の5月3日。いよいよ残すところあと3日となった世界卓球2009横浜。横浜アリーナでは初日には28台あったコードが2台にまで減らされ、一つ一つの試合のレベルと注目度は格段に高まってきている。大会6日目の5月3日に行われるのは、男女ダブルスの準々決勝、混合ダブルスの決勝、男女シングルスの準々決勝だ。日本勢では、男子ダブルスに岸川・水谷、女子ダブルスに平野・福原、男子シングルスに吉田海偉、女子シングルスには石川佳純が勝ち残っている。


男子ダブルス 岸川・水谷がベスト4入りの快挙 〜念願のメダルが確定!〜

岸川・水谷は苦しい戦いを乗り切って念願のメダルを獲得

 岸川・水谷ペアがやってくれた。メダル獲得が最も有力視されていた2人が劇的な勝利でそれを実現した。日本の男子ダブルスのメダル獲得は1997年マンチェスター大会の松下・渋谷の銅メダル以来12年ぶりとなる快挙。
 準決勝の相手はガオ・ニン/ヤンズィ(シンガポール)。右シェーク攻撃と左シェーク攻撃という同じタイプ同士の対戦となった。第1ゲーム出だしで堅さのとれない日本ペアは、動きのよいガオ・ニンの攻撃を許し9-11と先行される。第2ゲームで堅さのとれた日本ペアはシンガポールペアのミスにも助けられ11-2と大差でゲームをとると、続く第3ゲームでは水谷の目の覚めるような回り込み3球目攻撃など、積極的に攻める日本ペアに流れが来て11-4。しかし第4ゲーム、日本ペアは凡ミスが多く集中が難しい様子。このゲームを4-11で落とすと2−2と並ばれる。第5ゲームはシンガポールペアのミスや岸川の台上プレー、水谷のカウンターシュートドライブが決まるなどして11-5でメダルに王手!
 第6ゲーム、4-4、5-5、6-6と競り合う流れからガオ・ニンの好プレーで6-8とリードを許す苦しい展開。このあと水谷のバックハンドフリック、連続で強打をブロックするなどして8-9と迫る。次のガオ・ニンのサービスをレシーブした水谷の一球がこの試合の流れを左右したといえるかもしれない。レシーブはアウトとみなされ、スコアは8-10となるが、岸川・水谷はこのレシーブがエッジボールであったと主張。場内では大きなスクリーンに何度もスロー再生の映像が映し出され、水谷はこの判定に強く抗議するが結局判定は覆らず。しかし、日本ペアは逆にここで気を取り直して次のプレーに集中する。次のポイントではラリーからネットインしたボールを岸川が台の下からバウンドの低いボールで返すというファインプレー。そして岸川の3球目攻撃が決まり10-10とすると流れは完全に日本ペアに。ヤン・ズィのミスで11-10とマッチポイントを迎えるが、岸川のストップがネットミス。再びジュースで今度はヤン・ズィがストップをネットにかけるミス。ここで宮崎監督がタイムアウト。落ち着いてプレーを再開した日本ペアは岸川のフォアハンドドライブで13-11とし、この熱戦に幕を下ろした。
 観客の割れんばかりの拍手と声援の中で2人は抱き合って喜びを噛みしめた。しかし、岸川聖也と水谷隼の目標が銅メダルでないことを、明日の準決勝で証明してくれるだろう。

ダイナミックなプレーで観客を沸かせた
シンガポールペア、最後は日本ペアの気迫に圧倒された

このほか、岸川・水谷と決勝進出をかけて争う馬龍・許シン(中国)は香港の江天一・唐鵬を4−1と退けている。陳杞・王皓(中国)は松平・上田ペアを破った韓国の強豪、呉尚垠・柳承敏を熱戦の末4−2で制した。張継科・ハオ帥(中国)はチェン・ユック/リ・チン(香港)に不戦勝で準決勝進出。前日の男子シングルスの朱世赫戦でチェン・ユックが左わき腹を痛めたためこの試合を棄権している。
男子ダブルス準決勝は以下の予定。

10:45 陳杞・王皓(中国) vs 張継科・ハオ帥(中国)
12:15 馬龍・許シン(中国) vs 岸川・水谷(日本)


女子ダブルス 平野・福原は中国に及ばず

平野・福原は力の差を感じる試合に苦しんだ

 女子ダブルス準々決勝、ドイツペアに気合いの勝利をおさめて勝ち上がった平野・福原は中国新世代の女王、郭躍と李暁霞のペアに挑んだ。
 序盤、1-5と大きく離されるが、両者立ち上がりの堅さからミスが多く、リードを許したまま6-11とこのゲームを奪われる。中国ペアは台上技術、ラリー戦術、それにボールのスピード、回転量で日本ペアを上回っており、中国ペアに多少のミスがあってもなかなかリードが難しい。平野のスマッシュがオーバーしてこのゲームも9-11と落とすと、第3ゲームは台上で先手を取られラリーでも振り回されるという苦しい展開で3-11。第4ゲームは積極的に攻めた日本ペア。ラリーから福原が速い打点でフォアストレートに強打を決めるポイントもありゲームポイントを握るが、ミスを連発し逆転負け。1ゲームも取ることはかなわず悔しいストレート負けを喫した。


郭躍・李暁霞は隙のないプレーで日本ペアを圧倒

 このほか、郭炎・丁寧(中国)が劉詩文・曹シン(中国)との同士打ちを4−2で制し準決勝進出。金?娥・朴美英(韓国)のカットマンペアは林菱・張瑞(香港)をストレートで退けた。姜華君・帖雅娜(香港)は馮天薇・王越古(シンガポール)との打撃戦を4−2としベスト4入りを果たした。
女子ダブルス準決勝は以下の予定。

10:00 郭躍・李暁霞(中国) vs 姜華君・帖雅娜(香港)
11:30 金?娥・朴美英(韓国) vs 丁寧・郭炎(中国)


女子シングルス準々決勝 石川が張怡寧に善戦

石川は張怡寧を相手に一歩も引かないラリーを見せた

 今大会で快進撃を続けてきた17歳の石川佳純が、ついに卓球の頂点に君臨する中国の張怡寧と世界卓球の準々決勝という場で相見えた。
 ラブオールからすさまじい高速ラリーを繰り広げ石川が張怡寧のフォアサイドにエースを決めると、会場は大きなどよめきに包まれた。内容的には互角に見えるものの、それがなかなかポイントに結び付かない苦しい展開で4-11とこのゲームを落とすと、続く第2ゲームでレシーブや3球目攻撃の攻撃性を増した石川がレシーブを張怡寧のバックサイドにエースを決め11-7とし1−1に。しかし、第3ゲームミスの少ない張怡寧をリスクを背負って攻める石川に不利な展開で4-11。ラリーになるとボールのスピードとコース取りで少しずつ勝る張怡寧に流れは傾き、石川はこのゲームも4-11と落とし、後がない。第5ゲームやはりラリーで勝負を仕掛ける石川がエースを決めるが、総合的な安定力で勝るミスの少ない張怡寧が着実にポイントを重ね、石川は7-11でこのゲームを落とし、石川は2回戦の帖雅娜戦第4ゲームの3-9から始まった今回の世界卓球に幕を下ろした。
 だが、馬琳を追い詰めた松平健太同様、打倒中国の可能性を十分に感じさせてくれる日本の若手の活躍には今後も期待せざるを得ない。

張怡寧、女王のプレーは顕在

今大会で大きな成長を遂げた石川

そのほかは、李暁霞(中国)が唐イェ序(韓国)の仕掛ける速いラリーを中陣からのドライブでかわし4−1で決勝進出。チェコの同士打ちを制して勝ち上がったバチェノフスカは中国の若手劉詩文のパワフルなプレーの前に敗れ、劉詩文が初のベスト4入り。ザグレブ大会優勝の郭躍(中国)は馮天薇(シンガポール)とのラリー戦を4−1で制し決勝進出。ザグレブ大会同様女子シングルスのベスト4を中国が独占した。
 準決勝のカードは次の通り。

張怡寧(中国)





VS

劉詩文(中国)

李暁霞(中国)





VS

郭躍(中国)

男子シングルス準々決勝 吉田、王皓とのペンドラ対決に敗れる

吉田は得意のドライブで勝負できなかった

王皓は巧みな両ハンド

 男子準々決勝の第1試合、世界ランキング1位の王皓に挑戦した吉田海偉。ここまで見事なフットワークと得意の強烈なフォアハンドドライブで勝ち上がってきた吉田の技と力が世界のトップに、中国にどれだけ通用するのか。
 吉田はバック側へ回り込んでフォアハンドを振りたいが、王皓のコースが厳しいのと台にバウンドしてからのボールの伸びがすさまじいために十分に回り込むことができずパワフルなドライブが放てず、無理にフォアでつなぐとこれを狙い打たれてしまう。さらに裏面でフォア側を狙い打たれると吉田は動きをバックサイドに封じられてしまう。こうして詰将棋のように動きを封じられた吉田は徐々に力のある動きと自信を奪われていく。
 ひとつひとつ手ごたえを確かめるようにプレーしながらも、第1ゲームを9点で落とした吉田は、第2ゲームも王皓の両ハンドドライブと厳しいコース取りに苦しめられ8-11で0−2と離される。第3ゲーム、王皓にミスが増えて11-8とし、1ゲームを返す。第4ゲームからサービスを変えてきた王皓に吉田は対応できず、攻守の歯車が壊れ始めると3-11で1−3と王皓に王手をかけられる。後がない吉田だが、狂った歯車を戻すことができないまま、無理に攻めてミスを連発4-11で、吉田の世界卓球が終わった。
 長らく世界ランキング1位に君臨しながら、王励勤、馬琳らに阻まれオリンピックと世界卓球でのタイトルはまだない王皓。金メダルを狙うのに気合は十分だ。

 中国若手のエース馬龍(中国)と対戦したメイス(デンマーク)は中陣から攻撃を試みるが、打点も早くパワフルな馬龍のドイラブに太刀打ちできずにストレート負け。馬龍は初のベスト4入り。
 王励勤vs陳杞の中国同士打ち対決はゲームオールの激戦となった。王励勤は台からあまり距離を取らずに、前中陣でのスピーディなプレーで陳杞に対抗し、接戦を制した。王励勤は3大会連続の優勝へ向けて順調に駒を進めた。
 これも熱戦となった朱世赫(韓国)と馬琳(中国)の対戦。ことごとく馬琳にカットボールを打ち抜かれ、4-11、4-11と2ゲームをあっという間に失った朱世赫は、バッククロス主体のラリーから、フォアにもカットを送り馬琳のフォアクロスへのカット打ちをドライブで狙い打つ戦術に。しかし最後はパワーで勝る馬琳に軍配が上がり、馬琳が準決勝進出を決めた。準決勝では決勝の舞台で2度敗れている王励勤にリベンジを果たしたいところだろう。
 混合ダブルス、男子ダブルス、女子シングルスに続き、中国勢がベスト4を独占した。準決勝のカードは次の通り。

王皓(中国)





VS

馬龍(中国)

王励勤(中国)





VS

馬琳(中国)

混合ダブルス 優勝は中国の李平・曹シン

李平・曹シンは初出場で初優勝

 前回大会では主力選手である王励勤・郭躍、馬琳・王楠らが出場していた混合ダブルスだが、今大会では中国はシングルスにエントリーしていない若手を中心に若手ペアを送り込んだ。
 決勝戦は張継科・木子と李平・曹シンの対戦。ベスト8に中国勢は5ペアも入ったこの種目で李平・曹シンは準々決勝で許シン・范瑛、準決勝で張超・姚彦と中国勢を連破して勝ち上がってきている。決勝はゲームオールの接戦となった。お互いにゲームを取り合う展開で、最終ゲームは李平と女子ながらパワーのある曹シンが大きいドライブの引き合いに持ち込んで、台上で勝負をつけたい張継科・木子を突き放した。

李平・曹シン(中国) 11-6,4-11,11-7,9-11,13-11,11-7 張継科・木子(中国)


中国若手の戦いを制した李平・曹シン

張継科・木子、決勝で敗れはしたが実力は折り紙つき



 なお、本大会の模様は 6月号(5/20発売予定)に掲載予定。