大会報道

プロツアーグランドファイナル 馬龍と郭炎が優勝 〜福原愛が劉詩文下す金星〜

2010.01.11

<ワールドツアー・グランドファイナル>

  プロツアー最強を決めるITTFプロツアー・グランドファイナル2009がマカオで開催された。

男子シングルス 馬龍(中国)が2連覇


馬龍が2連覇達成!

 男子シングルスは、中国がベスト4を独占。大会直前に発表された世界ランキングで初の1位を獲得した馬龍(中国)が第1シード。その馬龍は、初戦でオフチャロフ(ドイツ)、準々決勝でズース(ドイツ)のドイツ勢を下して順当に勝ち上がった。
 残りの3人も中国勢が占めた。張継科(中国)は初戦で馬琳(中国)をラリー戦で下すと、準々決勝では朱世赫(韓国)のカットをぶち抜いた。馬琳戦、朱世赫戦ともに張継科が見せた圧倒するほどのパワードライブに会場は大いに沸いた。
 もう1人会場を沸かせたのは許?(中国)。許?は初戦で優勝候補のボル(ドイツ)に快勝。抜群の台上テクニックとフットワークを使ったダイナミックなフォアドライブの連打でボルを圧倒した。準々決勝のシュテーガー(ドイツ)との試合では、大人と子供がしているのではないかと思えるほど力の差を見せつけた。
 中国の若手選手3人の中に食い込んだ唯一のベテラン選手となったのは王励勤(中国)。初戦で地元マカオの選手に勝つと、準々決勝でハオ帥(中国)とのラリー戦を制して、ベテランの意地を見せた。

 準決勝第1試合、馬龍は張継科の台上ドライブからの強烈な両ハンド攻撃の前に面をくらって1、第2ゲームを落としたが、徐々にペースをつかみ始めて、第3ゲーム以降はラリー戦で張継科を圧倒。張継科の猛攻を避けて決勝に進出した。
 もう1つの準決勝は許?対王励勤。この試合も壮絶なラリー戦が繰り広げられたが、許?が王励勤の左右に打ち分けるドライブを驚異的なフットワークを使ってオールフォアでカバー。激戦を制した。

 決勝は前回チャンピオンの馬龍と成長著しい許?の対決になった。第1ゲームは馬龍が競り勝ったが、2、3ゲームは台上で先手を取ってラリー戦でも馬龍を押した許?が取り、ペースは許?に傾いた。しかし、ここから馬龍が本領発揮。やや動きに疲れの見える許?に対して、馬龍は全力スイングのパワードライブを浴びせる。第4ゲームを3点で馬龍が取ると、5、第6ゲームも一方的な内容で馬龍が取り、2連覇を達成した。
 敗れたとはいえ、今大会の許?、そして3位に入った張継科の活躍は、中国の世代交代が近づいていることを物語っていた。

馬龍が力強さで連覇

許?は敗れたが、健闘が光った

張継科は次世代のプレーを披露

王励勤は3位に終わる


女子シングルス 郭炎(中国)が2連覇


郭炎が若手退け連覇

 女子シングルスのベスト4は、金?娥(韓国)、郭炎(中国)、丁寧(中国)、馮天薇(シンガポール)。
 準決勝第1試合は郭炎(中国)対金?娥(韓国)。もつれる展開が予想できたが、郭炎はループドライブからミドルへの強打という戦い方を徹底し、金?娥に付け入る隙を与えなかった。
 もう一方の準決勝は丁寧(中国)対馮天薇(シンガポール)。この試合はハイレベルで内容の濃い一戦だった。両選手ともミスが少なく、バックハンドの伸ばし合いからどちらかがフォアドライブで仕掛け、それをカウンターで狙い、そのボールをまたバックハンドで伸ばすなど、見応えのある戦いが行われた。最後は強気のプレーに勝った丁寧が激戦を制した。

 決勝は連覇を狙うベテランの郭炎と初優勝を目指す若手の丁寧の対決になった。郭炎、丁寧ともダイナミックなプレーをするため、男子のような中陣のドライブの打ち合いが続くなど迫力があり、レベルの高い試合だった。両選手とも簡単にミスしないため、ラリー戦からどちらかが強打をしなければ得点にならない。全体的に見ると丁寧が郭炎をやや押しているように思えたのだが、終わってみれば郭炎が競り合いをものにして勝利。丁寧は第6ゲームをジュースで落としたのが痛かった。
 近く引退の噂もささやかれている郭炎だが、今大会のプレーを見るとまだまだ世界のトップで十分戦えると感じさせた。

郭炎が力でねじ伏せた

丁寧は競り合いで及ばず・・・

世界トップの力を見せた

馮天薇がハイテクニックで3位

ベテラン金?娥が準決勝に

 日本から出場した福原(ANA)と平野(ミキハウス)はベスト8
 マカオでも人気があり、観客席から声援がおくられた福原は、初戦で世界ランキング1位の劉詩?(中国)を破る殊勲を挙げた。福原はバック対バックの展開で劉詩?を上回り、要所で強気でロングサービスを出してサービスエースを奪うなど、終始強気なプレーで劉詩?にプレッシャーを与え続けた。
 続く準々決勝では金?娥(韓国)のカットの前に敗れたが、戦術は悪くなかった。これまでよりもツッツキを多用し、ツッツキ対ツッツキの展開からチャンスを生み出してバックハンド強打で攻めるなど、ゲームの前半でリードを奪い、勝機はあった。しかし、カウントが競り合うゲームの後半になると、金?娥の攻撃も入るようになり、またチャンスをつくって浮かせたカットを打ちミスしてしまうなど、福原に焦りが出てしまった。

 平野は初戦でマカオの選手に勝つと、次は郭炎(中国)と対戦。金星を挙げたいところだったが、郭炎のパワーに屈した。平野はサービスからの3球目攻撃を積極的に試みたが、郭炎は台から少し離れて距離を取り、そこから両ハンドのパワードライブで盛り返す戦術を見せた。球威の差が最後まで響き、平野はストレートで敗れた。

福原愛、世界1位の劉詩?を下す

平野は郭炎に完敗・・・


ダブルス ボル・ズュースと劉詩文・丁寧が優勝


ボル・ズュースが男子ダブルスを制す

 男子ダブルスはボル・ズース(ドイツ)が優勝。中国ペアが出場していない今大会は、出場ペアを見てもボル・ズースの力が頭1つ、いや2つほど抜きん出ていた。優勝までわずかゲームしか落とすことなく、圧倒的な強さとコンビネーションを見せた。

 女子ダブルスは丁寧・劉詩?(中国)の若手ペアが優勝。まだ完成されたコンビネーションとは言えず、簡単なミスも時折あるが、次代の中国の黄金ペアになりそうな予感は十分だ。台上のうまさ、素早動き、ダブルスとは思えないいほど高い打球点をとらえたラリーを見せた。

若手ホープの丁寧・劉詩?が快勝



21歳以下はツムデンコ(ウクライナ)とユ・メンユ(シンガポール)がV

伏兵ツムデンコが栄冠

実力者ユ・メンユが圧勝

 21歳以下の男子シングルスは、伏兵のツムデンコ(ウクライナ)が優勝した。
 ツムデンコは予選のグループ1でサリフ(フランス)に敗れたが、サリフが2敗したために1位で通過。決勝トーナメントの準決勝で2007年世界ジュニアチャンピオンの丁祥恩(韓国)を下すと、決勝はグループ1で快勝したフィルス(ドイツ)と再戦。ツムデンコはフィルスのカットを威力のあるフォアドライブで打ち抜いて圧倒した。

 21歳以下の女子シングルスは、ユ・メンユ(シンガポール)が優勝。ユ・メンユは世界ランキング32位で、今大会の女子シングルスでベスト8入りした実力の持ち主。終始全く危なげない戦いで。順当な結果と言えるだろう。
 ユ・メンユは予選のグループ2を全勝で1位抜けすると、準決勝で梁夏銀(韓国)と対戦。この試合が唯一競った試合になり、ユ・メンユにとっては気が抜けない試合だった。ユ・メンユは梁夏銀のバックハンドに押されて1、第2ゲームを落としたが、徐々に慣れてきてラリー戦で得点できるようになり、4ゲームを連取した。
 決勝はグループ2で快勝しているドデアン(ルーマニア)。スピード、テクニックの両方で上回るユ・メンユがドデアンに圧勝した。

今大会の模様は・・・ 〜卓球レポート3月号に掲載〜

 今大会の記録は国際卓球連盟と日本卓球協会のホームページに掲載されています。
 国際卓球連盟 公式HP:http://www.ittf.com
 日本卓球協会 公式HP:http://www.jtta.or.jp

 なお、今大会の模様は 3月号(2/20発売予定)に掲載予定。
 現地取材班:中川学(卓球レポート編集長)