大会報道

第80回インターハイ青森大会最終日:8月14日

2011.08.14

<インターハイ>

男子シングルス、丹羽孝希が2連覇達成 〜2年続けて町との同士討ちを制す〜

丹羽孝希が見事に2連覇達成

 男子シングルス決勝は、前回王者で全日本ジュニアチャンピオンの丹羽孝希と前回準優勝で第2シードの町飛鳥という昨年と同じ顔合わせとなり、6年連続で青森山田勢の同士打ちで争われた。
 
 ゲームは予想外の展開で幕を開けた。昨年の決勝は丹羽が見事にスタートダッシュを成功させたが、今年は町が鮮やかに飛び出した。しっかり踏み込んだ台上プレーで優位に立って1-6とすると、リードを保って第1ゲームを先取した。続く第2ゲームも町がバックサイドから豪快に攻め込んで1-5と再びリード。町の先制パンチに面食らった丹羽は、フォアハンドで打ち返して5-6とする。しかし、町が巧みな攻守で丹羽のミスを引き出して5-9として、いきなり2ゲームを連取した。
 予想しない展開で大きく先行を許した丹羽だが、第3ゲームに入ってようやく本領を発揮する。得意の台上プレーで変幻自在に展開して町を幻惑させると、目が覚めるような速攻を決めて1ゲームを奪い返す。すると第4ゲームも立ち上がりから厳しい攻守で圧倒して5-1。丹羽の急展開に手も足も出なくなった町に動揺の表情が・・・。
 タイスコアに戻った第5ゲームは、主導権を争う探り合いで5-5。ここで長い打ち合いから丹羽が町のロビングを打ち抜いて6-5とリードすると、ここが勝負所と見てフォアハンドで動き回り、3対2と逆転に成功した。
 1ゲームをリードして完全に流れを掌握した丹羽は、サービス&レシーブで自分のペースに引きずり込んで7-3。受け身に回った町のフィッシュを徹底的にフォアで動いてドライブで押し込んで一気に勝負を決めた。
 結局、丹羽が4−2で町に逆転勝利を収め、2年連続での同級生対決を制した。

 昨年、1年生ながら誰もが優勝を確信するという重圧を乗り越えて頂点に立った丹羽。その直後にユースオリンピックで初代金メダリストとなり、大きく飛躍した1年を過ごした。
 そして迎えた地元・青森でのインターハイで、勝利必須という絶対的なプレッシャーをものともせず、今年も一気に頂点に駆け上った。
 来年の夏は、卓球誕生の地での夢舞台を目指して精進を重ねることになるだろう。もはや丹羽の踊るステージは高校という枠を飛び越えて、世界に移ろうとしているのだ。

■丹羽孝希 優勝インタビュー
「勝負は準決勝、最大のライバルに絶対負けられないという気持ちで戦いました。出だしが悪くて苦しかったですが、競り合いで我慢できたことが良かったです。
決勝の前、町選手といい試合をしようと話しました。町選手は立ち上がりからすごく良くて、いつもと違うなと戸惑って2ゲームを先行されてしまいました。そこで開き直れて第3ゲームを取ることができ、流れが来たと思います。シングルスのタイトルは絶対に渡せないと思ったので、競り合ったときにその気持ちの強さが出たと思います。
来年のインターハイはオリンピックと日程が重なるので、今年が最後だと思って臨みました。インターハイよりもオリンピックの方が大事なので、出場を目指して頑張りたいと思います。」


丹羽が足を使って流れを変えた

町は幸先良く攻め込んだ・・・

地元青森で頂点を死守した


−準決勝第1試合、丹羽が吉村の強打を封じた−


 準決勝第1試合は、ユースオリンピック金メダリストの丹羽とアジアジュニア王者の吉村という注目の対決となった。
 試合は吉村が好調な立ち上がりを見せる。軸をぶらさず振り抜くバックハンドドライブを武器に攻め込んで第1ゲームを先行する。第2ゲームは丹羽が左右に素早い揺さぶりでリードするが、吉村が軽いタッチの攻守で応戦してジュースに追い付く。このゲームを失うと苦しい丹羽が高い位置取りからの攻撃で競り勝って1対1に持ち込んだ。
 第3ゲームは吉村がラリーに持ち込ませずにマッチポイントを握るが、丹羽が広角に打ち込んで逆転。すると第4ゲームは両者が持ち味を発揮して得点しあい、3ゲーム続けてジュースにもつれこむ。ここでも丹羽がうまく吉村のバックサイドをツブして、3対1と王手をかけた。
 すると第5ゲームは5-5から丹羽がスパートとして8-5で吉村がたまらずタイム。しかし、すきを見せない丹羽が回り込みドライブを連発して、吉村を押し切った。
 吉村は丹羽のうまい試合運びに完敗したが、アジアを制した抜群の破壊力は魅力満点。今後に期待を抱かせる大型プレーヤーに成長した。


丹羽が要所で攻撃力を見せた

吉村は得意の展開に持ち込めなかった


−準決勝第2試合、町が池田との同士打ちで圧倒−


 準決勝第2試合は、第2シードの町と、青森山田の主将を務める池田の同士打ちとなった。
 立ち上がりは池田がフルスイングのバックハンドドライブで攻め込むが、町が確実なプレーで池田を後ろに追いやって先行する。力技だけでは抜けない池田は、位置取りを前にしてフォアハンドで攻め込んで1対1に戻した。
 町は池田の猛攻に気後れすることなく落ち着いて対処する。第3ゲームは攻守で圧倒して簡単に取り返すと、池田のボールがよく見えてラリーを支配する。町は池田に捨て身のドライブを放たれてもしっかりと受け止め、要所でドカンと仕留める会心の展開となり、4対1で快勝した。
 池田は町には及ばなかったが、混戦となったゾーンをしっかりと勝ち上がり、地元開催で主将としての役割をキッチリと果たした。


町が落ち着いて攻守を展開

池田、敗れるも主将の役割果たす


−ベスト8は、加藤由行、尾留川竜貴、斎藤稜馬、徳永大輝−


 準々決勝4試合が行われ、各地の名門校の選手が登場した。
 第1試合、丹羽vs加藤(愛工大名電)。丹羽がラリーをコントロールして主導権を握る。ここまで力強いフットワークからのパワードライブで奮闘してきた加藤だが、相手のドライブを自在に狙い撃てる丹羽には及ばなかった。
 第2試合、吉村vs尾留川(明徳義塾)。初のベスト4を目指す吉村は、昨日吉田(青森山田)を下した尾留川の思い切りの良い両ハンドをしっかり受け止めて弾き返し3対0とする。尾留川も捨て身の攻撃で第4ゲームを奪うものの、吉村が落ち着いた攻守で引き締めた。
 第3試合、池田vs斎藤(遊学館)。池田は個人戦に入って急成長した斎藤の前陣カウンターを中陣からの両ハンドドライブで打ち抜いて3対0と引き離す。斎藤は中盤から池田のドライブに足が付いていき1ゲームを取り返すが、動きに余裕がある池田が連続ドライブで斎藤を振り切った。
 第4試合、町vs徳永(希望が丘)。試合は徳永が小振りの両ハンドで攻め込んで、町が中陣から打ち返す展開となる。見応えのあるラリーとなるが、町が中盤で球威が落ちる徳永の攻撃をじっくりとはね返して完封勝利。


加藤は丹羽にドライブを封じされた

尾留川は思い切り良く攻めたが・・・

斎藤は大健闘のベスト8

徳永は町に力負けした


女子シングルス、鈴木李茄が初優勝 〜青森山田女子4人目の栄冠〜

鈴木李茄が青森に錦を飾る

 女子シングルス決勝は、温馨(希望が丘)と鈴木李茄(青森山田)というインターハイ初出場同士の2年生対決。温馨は福岡県勢として初の女子シングルス制覇を狙う。一方の鈴木は青森山田勢6年ぶりの優勝を目指す。
   注目の立ち上がりは鈴木に硬さが見えて攻撃ミスが出て4-8、7-10と温馨にリードを許す。ここで一汗かいて体も心もほぐれた鈴木がじっくりとラリーを引いてジュースに追い付くと、一気に抜き去って第1ゲームを先行した。これで本来の攻めの姿勢が甦った鈴木。第2ゲームは4-4から重い両ハンドドライブを鋭く打ち込んで連続ポイントを挙げ、2対0とリードを広げた。すると第3ゲームは自由自在の両ハンド攻撃をビシバシと決めて7-3、9-5と引き離して、いきなり栄冠に王手をかけた。
 いいところがなく追い込まれた温馨。第4ゲームは起死回生のミドル攻めに活路を見いだして3-6、4-8とリードを広げ、なんとか1ゲームをもぎ取った。
 1ゲームを失って目が覚めた鈴木。第5ゲームは持ち上げ気味の温馨の両ハンドドライブを上からカウンターでかぶせて6-2とする。これで気持ちに余裕ができた鈴木は、必至に食らいついてくる温馨をフォアハンドでブロックに追いやる。このまま鈴木が緩めず攻め込んで、温馨を押し切った。

 これで鈴木は青森山田勢4人目(平成17年度/曹嘉懿、平成11年度/呂銀銀、昭和50年度/千葉良子)のチャンピオンとなり、地元開催のインターハイで見事に錦を飾った。
 あふれるセンスで将来の有望株と目されていた鈴木。ここ数年は生活環境が目紛しく変わる苦しい時期を過ごしたが、移り住んだ青森で開催された晴れの舞台でようやく大輪を開かせた。

■鈴木李茄 優勝インタビュー
「決勝は中国選手だったので、予測や戦術に気をつけて待たれないように意識しました。カウンターの自信はなかったのですが、振り切るしかないと思いました。
最初はなかなかインターハイの雰囲気に慣れなくて、自分のプレーが思うようにできなかったときもありました。しかし、シングルスに入って序盤から強い選手と対戦し、競った試合を勝つことができて自信を持つことができました。」


鈴木が力強い攻撃で圧倒

温馨は防戦で攻めを繰り出せず・・・

青森での快挙にホッと笑顔


−準決勝第1試合、温馨が丹羽との打ち合いを制す−


 準決勝第1試合は、第1シードの丹羽(青森山田)と温馨が対戦。両者とも両ハンドで力のあるドライブを打てる選手。
 立ち上がりは温馨が小さいプレーで主導権を握って先手を取り、第1ゲームを先行する。しかし、第2ゲームは丹羽が温馨のバックサイドを力で押して1対1に追い付いた。
 両サイドで打ち合うと丹羽にパワーで押させる温馨は、ミドルを絡めてからバックサイドをツブして主導権を握る。一気に第3ゲームと第4ゲームを連取して、勝利に王手をかけた。
 温馨は大振りで攻めてくる丹羽に対して回転をかけたドライブをクロスに放ってミスを誘うと、台上でチャンスを作ってからのフォアハンドドライブで打ち抜いた。
 丹羽は惜しくも敗れたが、2年続けてのベスト4入りは立派な成績だ。


温馨が得意のドライブを決めた

丹羽は主導権を握れず・・・


−準決勝第2試合、鈴木が松本に借りを返す−


 準決勝第2試合は、鈴木と松本(四天王寺)が対戦。両者は前日の学校対抗決勝で対決しており、そのときは松本が逆転勝利を収めている。
 試合は前陣で厳しい打ち合いが展開されるが、終盤に鈴木にラッキーなポイントが出て第1ゲームを先行する。第2ゲームも一進一退。コンパクトなスイングの速攻を仕掛ける松本と力強いシャープなドライブで攻め込む鈴木がともに譲らずジュースに。ここで鈴木がしっかりと回転をかけたループドライブを放って、2対0とリードを広げた。すると第3ゲームは勢いに乗った鈴木が松本をバックサイドに詰めて、有利に試合を進めて3対0と大きく引き離した。
 昨日のように逆転できない松本が必死の巻き返しを図るが、鈴木が隙を見せずに攻め込んで4-2として松本がタイムアウト。しかし、鈴木の流れはまったく止まらず、異発ドライブをビシッと決めて完封勝利。悔しい敗戦の雪辱を遂げた。
 準決勝は完敗した松本だが、亀石(岩国商業)、楊テイ(明徳義塾)ら実力者を連破して順当に勝ち上がった内容は評価に値するだろう。


鈴木が前日の借りを返す完封勝利

松本は勝機を見いだせず


−ベスト8は、土田美佳、高橋真梨子、楊テイ、高橋美帆−


 準々決勝4試合が行われ、テンポの速い攻防が繰り広げられた。
 第1試合、丹羽vs土田(明徳義塾)。序盤は丹羽が力強い両ハンドをドカンと決めて3対0とリードを奪う。しかし、第4ゲームから土田のブロックが止まり始め、丹羽の強打にミスが出てゲームオールにもつれ込む。最終ゲームも一進一退となるが、最後は丹羽がパワーで土田を振り切った。
 第2試合、温vs高橋(四天王寺)。前半はサウスポーの高橋がバックサイドから左右に打ち分けて2対1とリードする。しかし、温馨が高橋の攻撃を懸命の両ハンドドライブで打ち返して流れを引き戻す。第4ゲームから一気に3ゲームを連取して、逆転勝利を収めた。
 第3試合、松本vs楊(明徳義塾)。試合は立ち上がりから前陣での叩き合いが繰り広げられる。守備力で上回る松本が3対1と王手をかけるが、楊が捨て身の攻撃を仕掛けて3対3に追いすがる。最終ゲームは松本がしっかり動いて楊の焦りを誘って辛くも競り勝った。
 第4試合、鈴木vs高橋(岩国商業)。センスあふれる両ハンドの持ち主の対決は、ボールの威力で勝る鈴木が圧倒する。高橋は柔らかいタッチの連打で追いすがるが、1ゲームを奪うのが精一杯だった。


土田はあと1本届かず・・・

高橋は温馨の強打を止めれず

楊テイは追い上げ及ばず

高橋、敗れるもセンスが光った


今大会の模様は・・・ 〜卓球レポート10月号に掲載〜

 今大会も地元の高校生が一人一役運動として運営をサポートした。
 表彰式での最後の大仕事を控え、直立不動で出番を待つ。


最後の入場行進に備え、じっと待つ

 今大会の詳しい模様は 10月号(9/20発売予定)に掲載予定。

現地取材班:中川学(卓球レポート編集部)、小畑賢二(卓レポビデオ制作室)、兼吉秀洋(バタフライ・ホームページ)