大会報道

平成23年度全日本選手権大会5日目:1月21日

2012.01.21

<全日本卓球選手権大会>

女子シングルス、福原愛が新女王に 〜石川との頂上対決制す〜

愛ちゃん、ついに日本一の座に

  女子シングルス決勝は、2連覇を狙う女王・石川佳純(ミキハウスJSC)と、初めて決勝に進出した福原愛(ANA)が対戦した。日本中が待ち焦がれた二人のヒロインの対決が、ついに最高峰の舞台で実現した。
 注目の立ち上がりは福原が会心のスタートを切る。世界屈指の高速連打を誇る福原は、得意のライジングバックハンドで石川に襲いかかって4-8とリードする。福原はまったく緩めず快速攻撃を繰り広げ、7-11で第1ゲームを先行した。
 続く第2ゲームも出足から福原が先手を取って、石川のバックサイドに厳しいボールを集めて2-5とする。ここから精度が増したフォアハンドドライブと鋭いバックハンド強打を広角に決めて4-8と引き離すと、7-10でサービスエースを決めて、福原がこのゲームも連取した。
 順調な滑り出しを見せた福原は第3ゲームも緩めない。両ハンドの速攻をビシバシ決めて2-5と引き離す。あっという間に福原ペースに持ち込まれた石川は、懸命のブロックで応戦して5-5に追い付いた。ここで福原がサービスエース2連発で5-7とするも、石川が踏ん張って7-7とした。このゲームを取って王手をかけたい福原は、再び目にもとまらぬ高速プレーで石川を左右に揺さぶって4本連取。一気に福原が女王の座にあと1ゲームと迫った。
 いきなり苦境に追い込まれた石川は、福原の早いタイミングに付き合わず、テンポを緩めた返球で福原のリズムを崩して5-2とリードした。すると、福原の速攻にも対応し始めて9-3とし、ようやく1ゲームを取り返した。
 このまま流れを引き戻したい石川と、ここで決めてしまいたい福原の思いが交錯し、第5ゲームは4-4と一進一退。ここで福原が気持ちを込めたバック強打を連発して石川を追い詰めて4-7として、たまらず石川がタイムアウトを取る。しかし、福原の流れは止まることなく、連続強打の嵐で石川を押し詰めて、いよいよ5-10とチャンピオンシップポイントを手にした。
 最後は福原のループドライブを石川がオーバーミス。この瞬間、天才卓球少女と呼ばれた愛ちゃんが、全日本チャンピオン・福原愛となった。
 
 愛ちゃんは3歳で卓球を始め、球歴は20年を数えた。マスコミに注目され、常に卓球界の期待を一身に集めてプレッシャーと戦い続けてきた。しかし、日本最高峰の戦いでは高い壁に阻まれて、女王の座が遠く霞む日々が繰り返された。そして今日、実に13回目の挑戦で誰よりも欲しかった皇后杯を手中に収め、表彰台の中央で最高の笑顔がこぼれ落ちた。
 ついに日本の頂点に立った福原愛。2012年は夏のロンドンで世界最高峰の舞台が待ち構えている。これまで7回の祭典で日本は未だにメダルを手にしていない。日本卓球界の悲願達成は、女王・福原愛の右手に託された。
 ≫この一戦から今日のナイスゲームを選出

■優勝インタビュー
 支えてくれた人たちに感謝の気持ちと、夢なんじゃないかって思います。今年で卓球を始めて20周年なので、すごくいい節目の年になりました。コーチの張さんがいなかったらこのタイトルはなかったと思うので、本当に張さんさんに感謝しています。
 自分の中ですごく大きな壁となっていた全日本で優勝することができたので、オリンピックではもっともっと成長した自分を見てもらえるように頑張ります。


福原が目にもとまらぬ攻撃で押し切った

石川は一方的な防戦で女王陥落・・・

ついに来た歓喜の瞬間、笑顔がこぼれた


準決勝第1試合:石川vs田代 〜石川が田代の両ハンドを完封〜


 2連覇を狙う石川は、初めて準決勝に進出した田代の挑戦を受けた。石川は全日本ジュニアやインターハイで田代の両ハンド攻守に苦しめられており、試合の展開が注目された。
 石川は、切れ味の良い田代のバックハンド攻撃をしっかりと受け止めて8-2として第1ゲームを先行する。第2ゲームは田代が攻め込んで6-8とリードするが、石川が我慢のプレーでジュースに追い付く。一進一退の攻防で石川が14-13としたところで盤石のタイムを取ると、サービスエースを決めて2対0とリードを広げた。第3ゲームも互角のラリーが続いて5-5、8-8と競り合うが、石川が集中した攻守で3ポイント連取して王手をかけた。
 あとがなくなった田代、第4ゲームは捨て身の攻勢で1-6と引き離す。しかし、石川はじっくりとラリーを展開して田代のミスを誘い、6-6に追い付いた。ここから両者譲らず9-9となるが、石川が2本続けて会心のプレーを決めて見事な完封勝利を飾った。


石川が巧みな攻守で完封勝利

田代は石川のブロックを崩せず


準決勝第2試合:福原vs平野 〜日本代表対決は福原が完勝〜


 準決勝第2試合はともに日本代表で世界の舞台で戦っている福原と平野が対決した。
 試合は前陣で速いテンポのラリーの応酬となる。両者譲らぬ展開で5-5、9-9と競り合うここで福原がバックストレートに決めてマッチポイントを握ると、3球目ドライブで得点して第1ゲームを先行した。続く第2ゲームは平野が福原に揺さぶりをかけて3-6とリードする。しかし、福原の攻守にミスがなくなって8ポイントを連取して2対0とした。第3ゲームも福原が中盤にリードを広げ、一気に王手をかけた。
 第4ゲームも福原が連続ポイントで3-0として、平野がたまらずタイムアウト。平野は気持ちを整理して福原の速攻に食らいつき、7-7とする。しかし、今日の福原は追い付かれても気持ちが怯まない。平野の両ハンド攻撃を上からかぶせて9-7と引き離すと、最後は3球目でバックハンドスマッシュをビシッと打ち抜いた。


福原がまったく緩めず完勝

平野は押し込まれて苦しい展開に


ベスト8は森薗、若宮、藤井、石垣の4選手


 ベスト8は森薗美咲(日立化成)、若宮三紗子(日本生命)、藤井優子(日本生命)、石垣優香(淑徳大)の4選手。
 第4シードの森薗は田代と凄まじい打撃戦を展開したが、最後にプレーの精度に差が出てゲームオール9本で惜敗。2年連続ベスト8に終わった。
 過去に福原に勝利を収めたことがある若宮。立ち上がりは互角の展開を見せて1対1としたが、競り合いでも慌てない福原のプレーを攻略できなかった。
 ジュニア時代に石川と死闘を繰り広げた藤井だが、その当時から格段にスケールアップした石川の攻撃を受け止めきれず完敗した。
 第2シードの藤井寛子に競り勝って勝ち上がった石垣だが、カット攻略に絶対的な自信を持つ平野の前には手も足も出ず、無念のストレート負け。


森薗は田代との打撃戦で惜敗

若宮は福原を攻め込めず

藤井、後輩・石川に完敗

石垣は平野のカット打ちに沈む


男子ダブルスは水谷・岸川が王座返り咲き 〜高校生の共田・加藤を圧倒〜

水谷・岸川が5度目の頂点に

 男子ダブルス決勝は、2年振りの王座返り咲きを狙う水谷隼・岸川聖也(明治大・スヴェンソン)と、準決勝で前回王者の松平・丹羽(早稲田大・青森山田高)を打ち下した共田準吾・加藤由行(愛工大名電)が対戦した

 試合は元世界3位の水谷・岸川が抜群の存在感を見せる。一方、ここまで鍛え上げたフットワークを生かしたラリーで勝ち抜いてきた共田・加藤だが、檜舞台で緊張のボルテージがMAXに達し、本来のプレーが発揮できない。水谷・岸川は丁寧な台上プレーで共田・加藤に攻めさせず6-2とリードすると、9-3として先行する。第2ゲームは水谷・岸川が攻め気にはやる共田・加藤の気持ちを見透かして、小さく止めて持ち味を引き出させない。このゲームも5-1から9-3と一気に引き離し、早くも王権復活にあと1ゲームまで迫った。
 なんとかしたい共田・加藤だが、得意のラリーに持ち込めない。一方の水谷・岸川はどこからでもチェン巣が作れる多彩なコンビネーションで4-2として、ベンチの真田コーチがたまらずタイムを要請。これで落ち着く時間ができた共田・加藤にようやくエンジンがかかり、なんとか6-6に追い付いた。ここを取られて若さに勢いを付けたくない水谷・岸川がスパートする。しっかりと先手を取ってワイドなコースに打ち込んで、一気に5本を連取して勝負を決めた。
 オリンピック代表同士の水谷・岸川が絶対的な力を見せつけて王座を奪還。慣れ親しんだ指定席に腰を据え、夏の大舞台にステップアップする。


オリンピックコンビの貫禄で力を見せつけた

共田・加藤は敗れるも、ここまでの健闘が光った


 3位は松平健太・丹羽孝希(早稲田大・青森山田高)と高木和卓・大矢英俊(東京アート)が入賞した。
 前回王者の松平・丹羽は順調に4強入りしたが、準決勝で高校生ペアに足元をすくわれてしまった。第1ゲームは余裕の攻撃で圧倒したが、第2ゲーム以降は共田・加藤に強打を打ち返される。いずれのゲームも終盤もつれる展開となるが、集中力を欠いたプレーでミスが出て、2連覇への道が断たれた。
 準決勝第2試合は元全日本王者の水谷・岸川と全日本社会人優勝の高木和・大矢がラリー戦を展開。第1ゲームは高木和・大矢がフォアハンドドライブを連発して先制するが、第2ゲームに入ると水谷・岸川がうまくバックサイドを突いて主導権を握る。このまま水谷・岸川が高木和・大矢に攻め込ませず、6年連続決勝進出を果たした。


松平・丹羽はまさかの3位

社会人王者の高木和・大矢が4強


男子シングルスはベスト8が決定 〜張、吉田、岸川が敗れる波乱〜

水谷がダイナミックな両ハンドで圧倒

 男子シングルスは5〜6回戦が行われ、ベスト8が決定した。
 シングルスの最多連勝記録に並ぶ6連覇を目指す水谷隼(明治大)は、5回戦で後輩の町(青森山田高)の挑戦を退けた。続く6回戦は韓(東京アート)に競り勝った森田(シチズン)をまったく寄せ付けず、順当にベスト8入りを決めた。
 世界ジュニアチャンピオンの丹羽孝希(青森山田高)は、神(明治大)を下した平屋(埼玉工業大)の変化カットに苦戦して2対2とされた。しかし、だい5ゲームを競り勝って、4対2でなんとか振り切った。
 第4シードの高木和(東京アート)は、昨年の全日本で激闘を繰り広げた吉田(青森山田高)と再戦。高木和は吉田の鋭い台上プレーからの堅実な両ハンドに押し込まれて2対3と王手をかけれらた。しかし、第6ゲームを辛くもジュースで奪い返すと、懸命のフットワークでしのぎきった。
 大学最終年となった松平賢二(青森大)は、5回戦で御内(早稲田大)のカットを打ち抜くと、6回戦の小野(協和発酵キリン)には進境を見せるバックハンドを多用して快勝。
 3番目のオリンピック切符を勝ち取りたい松平健太(早稲田大)は、5回戦で同級生の上田(青森大)を速攻で振り切った。続く6回戦は第3シードの吉田(OVERLIGHT)に対して、終始先手を取って両ハンドドライブを左右に打ち抜いた。


世界ジュニア王者の丹羽が順当勝ち

高木和は吉田雅己に競り勝った

賢二はバックハンドで快勝

健太が吉田海偉を圧倒


 アジアジュニア王者の吉村真晴(野田学園高)は、前回2位の張(東京アート)のブロックをモノともせず、威力満点の両ハンドドライブでぶち抜いた。
 前回ランク入りした森本耕平(愛知工業大)は塩野(東京アート)の粘り強いカットをしっかり打ち切ってうれしいベスト8入り。
 オリンピック代表の岸川(スヴェンソン)に挑んだ時吉(時吉スクール)は、捨て身の両ハンドカウンターで岸川のブロックを打ち抜いて、見事に金星を挙げた。


アジアジュニア王者の吉村が張を粉砕

森本は塩野のカットを打ち抜いた

時吉が岸川をストップ


 上位進出が期待されたシード選手が相次いで敗れる波乱。
 前回2位で第2シードの張一博(東京アート)は、昨年のジャパントップ12で敗れている吉村の軍門に下った。張は、持ち前の鉄壁ブロックを苦にしない吉村に対して防戦一方となり、無念の完敗を喫した。
 第3シードで6年振りの天皇杯を目指した吉田海偉(OVERLIGHT)は、松平健太に速いテンポでバックサイドに詰められて、守勢のブロックを両ハンドドライブで打ち抜かれた。
 水谷とともにオリンピック出場が内定している岸川聖也(スヴェンソン)は、時吉のフルスイング攻撃に流れを失って2対3とされるが、なんとかしのいでゲームオールに持ち込んだ。最終ゲームも6-3とリードしたが、ここで時吉に開き直られて、まさかの逆転負けを喫した。


張は吉村の猛攻に完敗

吉田は健太の両ハンドに屈す

岸川は時吉に逆転負け


女子ダブルスはベスト8が決定 〜藤井・若宮、福原・石川らが順当勝ち〜

藤井・若宮ら上位シードが順当勝ち

 女子ダブルスは5回戦が行われ、ベスト8が決定した。
 第1シードで3連覇を狙う藤井寛子・若宮三紗子(日本生命)は、岡本・天野(サンリツ)の速攻をものともせずに完勝。
 オリンピックコンビの福原愛・石川佳純(ANA・全農)は大橋・荻原(JR北海道)のテンポの速いコンビネーションに1ゲームを失うが、キッチリと攻め切ってベスト8入りを決めた。
 そのほか、第2シードの阿部恵・小野思保(サンリツ)、第3シードの田代早紀・藤井優子(日本生命)、第4シードの野上紗矢佳・市川梓(日立化成)が順当の準々決勝に進出した。



オリンピックコンビの石川と福原がベスト8進出


今大会の模様は、卓球レポート3月号に掲載

光り輝く皇后杯が新女王の元へ

 今回で71回となる全日本選手権大会の歴史の中で、これまでに31人の選手が全日本女子チャンピオンの称号を手にしている。
 そして今日、32人目の女王が誕生し、燦然と輝く皇后杯が新たな女神の元に届けられた。

 今大会の模様は 3月号(2/20発売予定)に掲載予定。