大会報道

世界ジュニア4日目(12/12) 団体は男女とも中国が優勝。日本は2位

2012.12.13

<世界ジュニア選手権大会>

大会4日目は男女団体の決勝が行われた。決勝のカードは男女ともに日本対中国。6連覇中の中国男子に対して、日本男子は2大会連続の2位。女子は一昨年のブラチスラバ大会で王座に着いたが、昨年のマナーマ大会で中国が王座を奪還。日本は再び頂点を目指す。

 

【男子団体決勝 中国対日本】中国が7連覇を達成

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日本と中国は3年連続で決勝での対決。日本は準決勝までと同様、吉田、村松、酒井の3人で中国の7連覇阻止を狙う。対する中国は、準決勝のフランス戦で点を落としたペンの范勝鵬を下げて、樊振東、林高遠、徐晨皓のシェーク攻撃型の3人で日本の挑戦を受ける。

 

 

●樊振東 vs 吉田雅己

アジアジュニアチャンピオンの樊振東は15歳とは思えない完成度のフィジカルでパワフルなドライブを放つ。村松、酒井らと同じ学年と言えば、その体躯とボールの威力がいかに常識はずれなものか想像できるだろう。不敵な面構えもとても15歳とは思えない。第1ゲームは両者様子見といった試合運びで固さも見られたが、やはりパワフルな樊振東のプレーに押された吉田が9-11で落とす。続く第2ゲームも、樊振東が先に攻め込むと吉田は反撃のチャンスがなかなか見いだせず、5-11で0対2と後がなくなる。第3ゲームも吉田は序盤からリードを許し、3-6でタイムアウト。ここから6-7にまで詰め寄るがここで中国がタイムアウト。ラリーになると経験豊富な吉田にもチャンスはあるが、3球目、4球目で豪快に攻め込んでくる樊振東の攻撃を防げずに、7-11。強打者の吉田が力負けという悔しい結果になった。

 

●林高遠 vs 村松雄斗

中国の流れを食い止めたい村松が、昨年のシングルスで敗れているエースの林高遠と再戦。序盤から、ミドル、フォアを狙ってスピードドライブで決めにくるサウスポーの林高遠のボールを村松は止めることができない。立ち上がりの固さも手伝って第1ゲームは11-3と林高遠が圧倒。第2ゲームは点差を広げずに村松が粘り、連続攻撃を見せるなどして8-8と着いていくが、やはり林の一発を止めることができずに11-9で林高遠。第3ゲーム。村松の攻撃も待たれてカウンターされ、0-4で日本のタイムアウト。しかし、最後まで勝機を見出すことができずに4-11。林高遠の2点目で中国は早くも優勝に王手をかけた。

 

●徐晨皓 vs 酒井明日翔

今大会、ポーランド戦、台湾戦、韓国戦と失点が続いていた酒井が決勝で覚醒した。目の覚めるような速攻で驚くようなポイントの取り方をすることがある一方で、連続失点も多くなかなか自分のプレーの強みを勝ちにつなげることができなかった酒井。しかし、中国を相手にその才能とセンスあふれるプレーが爆発した。第1ゲームは1-8といきなり大きく離され苦しい展開。速いラリー展開の中で素晴らしいプレーは見せるものの、得意のカウンターをダブルカウンターされるなど苦しい展開で6-11。しかし、酒井はさらにスピーディーなプレーで徐晨皓を圧倒。スピードアップする酒井に対しても下がらずに前で対応しようとする徐晨皓のプレーが裏目に出て酒井はジュースを勝ち取り13-11で1ゲームを返す。第3ゲームは酒井がゾーンにはいったようなすさまじい速攻がさく裂。3球目、レシーブからの素早い速攻を見せ、完璧といっていい内容で徐晨皓を圧倒し11-6でリード。会場も日本のホームのような応援ムードが高まり、中国はアウェーでプレーしているような状態に。第4ゲームも酒井の当たりは止まらず3-0とリードしたところで中国はタイムアウト。勝ちが見えて少し固くなったか、酒井にミスが増え始め、先に攻められる展開で7-11。勝負の最終ゲームはねじを巻き直した酒井が強気の速攻で7-5とリード。しかし、負けられない徐晨皓も必死のプレーで酒井のミスを誘う。9-9からラリーで大きく振られた酒井がバックを突かれやっと返したチャンスボールを力んだ徐晨皓がまさかの空振り。このミスに救われた酒井はマッチポイント。最後は徐のフォア側を就いた酒井のバックハンドのストレートボールを徐晨皓がミス。酒井は両手を挙げてガッツポーズ、その名を中国の記憶に刻み込んだ。

 

●樊振東 vs 村松雄斗

いい流れを断ち切りたくない日本は村松が酒井の好調を引き継いで、気迫のこもったプレーを見せる。序盤は村松のカットの回転量に対応できず、ネットミスやオーバーミスを見せた樊振東だが、徐々に慣れ始めると6-6から5点連取で11-6とし、第1ゲームは樊振東。第2ゲームは村松のカットが低く収まり、強打できない樊振東を逆に村松が攻撃。バックハンド強打もきまり11-7で村松が1ゲームを返す。第3ゲーム、ミスもある樊振東だが、入ったボールの威力がすさまじく村松はノータッチエースを許す場面も。樊振東の強引な攻めに苦しみ7-11で中国が王手。第4ゲームは序盤から0-4と引き離された村松が、点差を縮めることができずに、6-11であえなくゲームセット。5番の吉田につなぐことはかなわなかった。

 

パワーに目が行きがちな中国だが、その強さの中枢にはレシーブのストップやツッツキなどの基礎技術のレベルの高さがある。こうした地味なプレーの上に豪快な一撃が成立しているということは忘れるべきではないだろう。日本は中国を倒すことはかなわなかったが、ここまでの日本選手の頑張りには目を見張るものがあった。故障を抱える町をのぞく3人で最後まで戦い抜いた日本は決勝に勝ち上がったことだけでも称賛に値するだろう。特に、カット主戦型の村松はプロツアー・グランドファイナルからの連戦で蓄積した疲労に加え、今大会でもタフな戦いを強いられ満身創痍の中、チームのために全力で戦った。吉田も頼れる大黒柱として決勝まで無失点の活躍を見せた。また、決勝では酒井明日翔という選手の存在を中国に、そして世界に知らしめたことの意味は大きい。酒井本人にとっても大きな自信につながったことだろう。明日から行われるシングルスでもあの目の覚めるような速攻を見せてほしい。

 

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<樊振東は驚くべきフィジカルの15歳、吉田はパワーに押された、完璧なカット攻略を見せた林高遠、村松は樊振東に善戦、中国を相手に「覚醒」した酒井、徐晨皓は酒井のプレーに茫然>

 

【女子団体決勝 中国対日本】中国が2連覇、日本は完敗

2年前のブラチスラバ大会で初めて中国を決勝で破った日本。そして、翌年のマナーマ大会では強力なメンバーをそろえて日本対策を講じてきた中国が日本にリベンジを果たした。今大会の決勝もその延長線上にあるとも言えるかもしれない。だが日本は、谷岡、前田を中軸に据え、石川佳純が抜けて、加藤と伊藤というとても若い選手が入った。今大会は彼女たちの将来のための経験を積ませる場だと、どこかで中国に勝つことはあきらめているのではないかと感じていた。しかし、日本はこのメンバーで決勝に勝ち残り中国への挑戦権をきっちり獲得した。そして、伊藤を2点使いという大胆なオーダーで中国に挑んだ。対する中国は若手の劉高陽を控えに回し、朱雨玲、顧玉婷、顧若辰という鉄壁のオーダーで臨んできた。

 

●朱雨玲 vs 伊藤美誠

ブラチスラバ大会で石川を破って世界ジュニア女王の座に着いた朱雨玲。超級リーグでも既に年長の選手を相手に勝ち越すほどの実力をつけている。伊藤の攻撃卓球がどこまで通じるのかに注目が集まった。第1ゲームはお互いに決勝の第1試合という場の空気に馴染めず、固いプレーでラリーが続かない。伊藤はバックハンドでレシーブエースやノータッチエースのポイントもあり、十分に戦えるという感触を見る者に与えた。しかし、やはり地力で勝る朱が様子見ながらも手堅いプレーで11-6で先制点。第2ゲーム伊藤は点差を開かせずについていってジュースに。サービスのエッジなどラッキーなポイントもあるが、最後はバックハンド強打がオーバーして11-13。第3ゲームはスパートをかけた朱が5-1とリード。朱のミスの少ないプレーに対して、伊藤が先に攻撃ミスをしてしまい11-3で朱。中国が1点目を挙げた。どんなに緊張していても取りこぼさない中国はさすがだが、今日の朱雨玲は相手が12歳ということでやりにくさもあったのか、精彩を欠いた。ベンチに戻ってからも韓華監督に納得がいかない様子で話しかけていた。

 

●顧玉婷 vs 谷岡あゆか

ブラチスラバ大会のシングルスで谷岡に敗れている顧玉婷がどのような戦い方を見せるのかが注目された。第1ゲーム、お互いに一歩も譲らない展開で点差が開かずに9-9に。ここから攻めの姿勢を見せた顧玉婷が2点を連取し第1ゲームは顧玉婷。第2ゲーム、疲労のせいか動きに精彩を欠く谷岡が1-9と大きく離される。しかし、ここから、丁寧なプレーで1点1点着実にポイントを重ね、6-9にここでたまらず中国がタイムアウト。しかし、最後は点差を詰められずに11-8で顧玉婷。後がない谷岡だが、打開策も見当たらない。序盤から防戦一方の谷岡に顧玉婷がスパートをかけ、11-2であっけなくゲームセット。2年前よりもパワーとスピード、そして戦術の幅を広げてきた顧玉婷が谷岡にリベンジを果たした。

 

●顧若辰 vs 前田美優

3番は中国3番手の顧若辰。対する日本はここで1点を取るために2番手の前田を投入。第1ゲームはサービスからの展開でいいプレーを見せた前田が11-9で先取。しかし、第2ゲームは顧が切れたツッツキを前田のバック側に送り、前田が持ち上げたボールを狙い打つ戦術で顧がリード、第3ゲームも流れは変わらず11-4、11-5で顧。何とか流れを変えたい前田は、積極的に回り込んでフォアハンドを決める場面もあったが、ミスのない顧若辰に対して、前田は攻撃にミスが出てリードを許し11-4で顧若辰。中国が2連覇を決めた。

 

伊藤の2点使いという大胆なオーダーに出た日本だが、その目論見は中国を脅かすには至らなかった。男子でも同じことが言えるが、中国との決定的な差は基礎技術の確かさだろう。ミスが少ないのはもちろんのこと、中国のツッツキやストップは、相手に攻めさせないという本来の役割を十分に果たすような精度の高い技術になっている。また、日本と目に見えて大きな差があるフィジカルもそうした高い精度の技術を支えているひとつだろう。だが、エースの朱雨玲がそうだったように、ジュニア選手の特長としてメンタルはまだ完全な成長を遂げてはいない。そこにはつけ込むすきがあるだろう。現時点で中国を倒すという結果を求めるのは酷だと思うが、改めて12歳の伊藤、13歳の加藤の伸びしろを考えれば、ジュニアでの日本女子の将来は明るいものだと感じられる。

 

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<エースの朱雨玲が先制点、伊藤は可能性を感じさせるプレー、顧玉婷は谷岡にリベンジ、谷岡は粘り切れず、顧若辰が優勝を決めた、前田は第1ゲームを奪ったが……>

 


今大会の情報は国際卓球連盟(ITTF)、日本卓球協会ホームページにも掲載されています。
国際卓球連盟:http://www.ittf.com
世界ジュニア大会ページ:http://www.ittf.com/competitions/competitions2.asp?Competition_ID=2187&category=WTCJ
日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp


今大会の模様は卓球レポート2月号に掲載。

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