大会報道

世界ジュニア7日目(12/15) 村松・酒井、前田・谷岡が銅メダル

2012.12.16

<世界ジュニア選手権大会>

大会6日目は男女シングルスの3回戦と準々決勝、男女ダブルスの3回戦~準決勝、混合ダブルスの準々決勝・準決勝が行われた。
 
【男子シングルス】吉田と村松がベスト8、ベスト4は中国が独占

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期待の日本男子は吉田、村松、酒井の3選手が中国選手に、町がドイツの伏兵ドゥーダに敗れて全員敗退となった。
3回戦でベルギーのドゥボスを破った吉田は準々決勝で林高遠と対戦。林はここ2大会連続で決勝で敗れており、「今年こそは」の意気込みで今大会に臨んできていることだろう。吉田はその林高遠に自分の卓球をさせない見事な立ち上がりを見せた。逆横回転系のサービスからの3球目、フォア攻めなど攻略のプランが明確に見える吉田の攻めに、林は本来ののびやかなドライブを放つことができない。それでもしのぎ方を知っている林が苦しみながらも1ゲーム目のジュースを制して先取。決して流れが悪くはない吉田は、第2ゲームも攻め続け11-9と取り返す。しかし、ここからが中国選手の強さだろう。第3ゲーム、吉田がサービスで2本落とすと、ここぞとばかりに林の連続得点。序盤で大きく離された吉田は粘りを見せるが8-11で落とし1対2。まだチャンスはあるかに思えたが、林は今大会では見せたことのない逆横回転サービスなど「奥の手」を使って吉田にとどめを刺しに来る。第4、第5ゲームは11-4、11-5と林が吉田を圧倒し勝負を決めた。最後まで表情の冴えなかった林だが、苦しいとき、自分の弱点を攻められたときの戦い方を知っているのはさすがだ。だが、林の「奥の手」を引き出すまでに至った吉田にはエールを送りたい。
 
村松は準々決勝で、団体戦で敗れている樊振東と再戦。1度敗れている相手に再び簡単に負けるわけにはいかない。団体戦では疲れを見せていた村松だが、ここでは動きに切れもあり、気迫に満ちた表情からはメンタル面の充実もうかがえた。少しでも甘いボールを送ると1発で決める力のある樊振東に対して、村松は積極的に攻撃の姿勢を見せる。カットだけではなく、連続攻撃でのポイントも挙げるが、樊振東のパワーは村松の守備力を凌駕。見せ場はつくるものの、11-7、11-9、13-11と樊振東が立て続けに3ゲームを連取。後がない村松が、ツッツキなどのつなぎのボールも強く回転をかける懸命のプレーで1ゲームを返す。崩れたかに見えた樊振東だったが、フルスイングのフォアハンドの威力は衰えず。11-9で村松のリベンジを退けた。善戦という言葉で片付けるのは簡単だが、それだけで終わらせてほしくはない。村松にも明確な課題が見えた戦いになったはずだ。
 
町はシングルスからの登場となったため、腰の故障もあり、最後まで本来の調子を取り戻すことができなかった。3回戦でドイツのドゥーダと対戦した町は、両ハンドのラリーから回り込んでフォアハンドでフィニッシュする町らしいプレーも随所に見せ、苦しいながらも3-2とリード。しかし、長身でなかなか抜けないドゥーダも粘りを見せて3-3に。勝負の第7ゲームは町が5-0とスパート。勝利を手中に収めたかに見えたが、終盤で気が緩んだか、消極的なプレーの町が追いつかれてしまう。最後は魂を削るようなジュースが続き、マッチポイントも握るが、15-17でドゥーダの逆転勝ち。コンディションも含め、上位を狙える実力の町にとっては悔しい3回戦負けとなった。
 
団体の決勝で徐晨皓を破った速攻ワンダーボーイの酒井にも期待が集まった。3回戦の相手は裏面の攻撃力は弱いペンホルダーの范勝鵬だけに、バック対バックの展開では優位に立つと考えていたが、迷わず回り込んで強烈なフォアハンドを打ちこむ范勝鵬が主導権を握る苦しい展開。フォアハンドの打ち合いでもパワーと精度で勝る范勝鵬が隙を見せずに4-0で日本の新星を沈めた。はまれば強い酒井だが、自分のプレーができないときの対処に幅が出れば、さらに上を目指せることは間違いない。
 
日本勢以外ではフランスのエース、ゴズィーが范勝鵬に対してラリーの強さで優位に立ち3-2とリードするが、ここから強気の攻めが見られなくなったゴズィーが逆転負けを喫し中国の牙城を崩せず。林高遠、樊振東、范勝鵬、徐晨皓の4人がベスト4を占めるという結果に終わった。
 
 
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<村松もベスト8で終了、ゴズィーも中国の壁を越えられず>
 
【女子シングルス】谷岡、最後の世界ジュニアが幕を閉じる
5大会連続出場でシングルス3位、そして団体優勝を経験した谷岡の世界ジュニアが幕を閉じた。3回戦でルーマニアのチオバヌを危なげなくストレートで破ると、準々決勝で顧玉婷と対戦。気負った顧玉婷がカット打ちをミスする場面も見られたが、2年前に谷岡が破ったときよりも球威、コースともに厳しさを増した顧玉婷のフォアハンドに谷岡は粘り切れず。バックハンドの攻撃でも得点したが、顧を脅かすには至らず、ストレートで敗北。顧玉婷が準決勝進出を決めた。
 
前田は3回戦で中国の劉高陽と対戦。前陣でのラリーを得意とするサウスポー同士となった。前田はその表情からも劉を倒すという気迫が十分に読みとれた。団体の主力として戦い、中国に挑み、そして敗れたという体験は、既に前田を成長させているのだろう。バックハンドの強打でチャンスをつくり、フォアハンドで決めるという黄金パターンを何度も見せたが、凡ミスの少ない劉が守勢ながらもリード。第2ゲームを攻めきって奪った前田だが、安定感で勝る劉が続く3ゲームを連取。明らかに自分のプレーはできていなかったが、それでも負けないのはさすが中国といったところだろう。高校1年生の前田にはまだ世界ジュニアで中国を破るチャンスはある。
 
3回戦でスッチと対戦した伊藤は、この強打者対決に真っ向から臨んだ。第1ゲーム、伊藤は強気のスッチに引けを取らず、バックハンドの強打を叩きこむ。スッチも鋭いバックハンドに叩きつけるようなフォアハンドスマッシュで応戦するが、伊藤の速い攻めに押され伊藤がゲームポイント。しかし、場数では勝るスッチがここで簡単に点を取らせてくれない。第1ゲームを逆転された伊藤だが、攻め続け、第2ゲームもゲームポイントを握る。しかしここで攻め急いだ伊藤にミスが出て、第2ゲームも逆転負け。悔しさと焦りが募る。0-3から第4ゲームをジュースで取り返すが、チャンスボールの決定力で勝るスッチが4-1で勝利。伊藤の金星はならなかったが、内容的には決して負けていなかった。試合後悔し涙を見せた伊藤だが、現時点では大健闘というほかないだろう。
 
加藤は顧若辰と対戦。前陣で両ハンドドライブを振る劉詩雯のプレーを一回り小さくしたような顧若辰に対して、序盤は真っ向勝負を挑んだ加藤。さすがに威力とスピードの双方で劣る加藤には厳しい戦い。そこで、少し距離を取ってゆったりとしたラリー展開で顧のリズムを狂わせると、12-10と1ゲームを返す。しかし、決定力を欠いた加藤にとっても苦しい戦い。ラリーで点を取れずに、顧若辰のパワーとスピードに押される結果となった。しかし、加藤には明確に戦術のバリエーションを使い分けることができるというこの年代では希有な能力の持ち主だ。パワーとスピードの成長を考えれば、これからがますます楽しみな選手だ。
 
中国の一角を崩したのは、団体戦でも顧玉婷を破ったドイツのゾルヤだった。ゾルヤは弾道の低いバックハンドの強打からチャンスをつくり、劉高陽のフォア側を攻める戦術で4-2としサウスポー対決を制した。男女を通じてただ1人最終日に残った中国人以外の選手となった。朱雨玲に挑んだスッチも気合い十分で準々決勝に臨んだが、修正に回ってもブロック力の高い朱を崩せずストレート負け。ベスト8入りと健闘したリリー・チャンも顧若辰とのラリー力の大きな差の前に敗れた。
 
 

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<谷岡は清々しい笑顔、気迫十分で臨んだ前田、チャイナキラー・ゾルヤがベスト4入り>
 
 
【男子ダブルス】村松・酒井が銅メダル
村松・酒井は村松の切れたカットからの酒井の早い攻めで、ラリー戦に強さを見せるアングレ・アシャール組(フランス)を準々決勝で退けベスト4入り。準決勝では林高遠・徐晨皓と対戦。徐晨皓が村松のカットを受ける組み合わせで日本が優位に、第3、第5ゲームを奪うが、ラリーが長引くと、攻撃力で勝る中国ペアが優位に。短いラリーで決めようとする日本にミスも出て、4-2で中国ペアに軍配。村松と酒井は個人戦で初のメダル獲得となった。
 
準決勝に勝ち残った洪子翔・李佳陞の台湾ペアも、樊振東・范勝鵬の中国ペアに挑んだが、2つのジュースを落とし0-4で敗退した。決勝は中国ペア同士の対戦となった。
 

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<村松・酒井が初のメダル獲得、台湾ペアも銅メダルどまり>
 
 
【女子ダブルス】前田・谷岡が2大会ぶりの銅メダル
3年連続でペアを組む前田・谷岡がベスト4入りを果たし、今大会初めての個人戦でのメダルを獲得した。準々決勝で金ビョルニン・李ダソム(韓国)ペアを4-2で下すと、準決勝で顧玉婷・朱雨玲(中国)のエースダブルスと対戦。谷岡のカットに対するカット打ちが回転量が多く、前田の攻撃がオーバーミスする場面がたびたび見られた。このボールに最後までアジャストできずに中国ペアに完敗。決勝進出はならなかったが、2年ぶり2度目の銅メダル獲得となった。
 
伊藤・加藤はチオバヌ・スッチ(ルーマニア)と準々決勝で対戦。レシーブのストップをきっちりとネット際に低く止めてくるルーマニアペアに攻めさせてもらえず、完敗。ルーマニアは強打者ペアだが、実に細かいプレーで確実に先手を取る戦術は見事だった。
 

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<前田・谷岡は銅メダル、伊藤・加藤はベスト8の健闘、ルーマニアペアがメダル獲得>
 

【混合ダブルス】ドイツペアがベスト4入り
1回戦で范勝鵬・顧玉婷の中国ペアが敗れたブロックから、ドイツのヨスト・ゾルヤが台湾の李佳陞・邱嗣華を破ってベスト4入り。しかし、準決勝では中国の樊振東・劉高陽に一歩及ばず3-4で準決勝敗退。決勝は中国対決となった。
 

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<ドイツペアがベスト4入り>
 
明日のシングルス準決勝、ダブルス決勝は以下の通り。
<男子シングルス準決勝>
樊振東(中国) vs 范勝鵬(中国)
林高遠(中国) vs 徐晨皓(中国)
 
<女子シングルス準決勝>
朱雨玲(中国) vs ゾルヤ(ドイツ)
顧玉婷(中国) vs 顧若辰(中国)
 
<男子ダブルス決勝>
樊振東・范勝鵬(中国) vs 林高遠・徐晨皓(中国)
 
<女子ダブルス決勝>
顧玉婷・朱雨玲(中国) vs 顧若辰・劉高陽(中国)
 
<混合ダブルス決勝>
林高遠・顧若辰(中国) vs 樊振東・劉高陽(中国)
 
 

 

今大会の情報は国際卓球連盟(ITTF)、日本卓球協会ホームページにも掲載されています。
国際卓球連盟:http://www.ittf.com
世界ジュニア大会ページ:http://www.ittf.com/competitions/competitions2.asp?Competition_ID=2187&category=WTCJ
日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp


今大会の模様は卓球レポート2月号に掲載。

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