大会報道

世界ジュニア最終日(12/16)(1) 樊振東と朱雨玲が優勝

2012.12.17

<世界ジュニア選手権大会>

大会最終日は男女シングルスの準決勝と決勝、男女ダブルスの決勝、混合ダブルスの決勝が行われた。最終日は男女とも中国選手が席巻。中国人以外の選手は女子シングルスでベスト4入りしたゾルヤ(ドイツ)のみとなった。
 
【男子シングルス】新星現る。15歳の樊振東が初出場で初優勝
 
●男子シングルス決勝 林高遠 対 樊振東

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樊振東は今年のアジアジュニアチャンピオンでその実力は既にお墨付きだが、今大会の団体戦での活躍、特に日本の吉田と村松を破ったのを見たときに、彼が15歳であることを疑わざるを得なかった。その体躯とすさまじい威力のボール、そして繊細なボールタッチはこれから世界の同世代でプレーしていく選手にとっては脅威以外の何物でもないだろう。

決勝が始まる前から、どこか調子が上がらない様子の林高遠が彼に敗れるのではないかという予感は多くの人にあったはずだ。だが、予想に反してというべきか、林高遠は樊振東にフォアハンドをフルスイングさせないように台上からバックに攻めて、ラリーになったらフォアミドルを攻めるという戦術で樊振東に自分のプレーをさせず第1、第2ゲームを順調に手にした。しかし、今大会中はあまり目にしなかった樊振東のバックハンドのすさまじさも私たちは目にすることになる。スイングはコンパクトだが、リストの強さで中陣からでも盛り返せるような威力のボールでラリーを制した。

第3、第4ゲームを競り合いながらも樊振東が取り返すと、林高遠のプレーは再び消極的になり、逆に樊振東は目覚めたかのようにパワフルな両ハンドを決め始める。第5ゲームも樊振東のペースで11-8で王手をかけると、第6ゲームは独壇場といっていい一方的なプレーで林高遠を圧倒し、初出場にして15歳の樊振東が世界ジュニアチャンピオンのタイトルを手にした。

決勝で3度目の苦杯をなめさせられた先輩への配慮だろうか、ガッツポーズひとつ見せることもなく静かに優勝の喜びをかみしめた。

 

●男子シングルス準決勝 樊振東 対 范勝鵬

范勝鵬は威力のあるフォアハンドとフットワークで戦うペンドライブ型、裏面を使うが決して得点力があるとは言えず、その点で樊振東には不利な戦いを強いられた。フォアハンドの決定力でもバックハンド技術でも勝る樊振東が危なげなく3ゲームを連取。第4ゲームは集中力を切らしたが、何食わぬ顔で1ゲーム捨てて、第5ゲームに仕切り直すという切り替えを見せるなど、余裕すら感じさせるプレーぶりだった。「驚くべき15歳」樊振東が決勝に進出を決めた。

 

●男子シングルス準決勝 林高遠 対 徐晨皓

もちろん優勝候補の筆頭ではあるが今大会の林高遠は準決勝まではどこか精彩を欠いた。集中できていないような表情も、ミスのたびに首をかしげる仕草も、本来ののびやかなプレーとはかけ離れたものだった。それでも、バランスの良い両ハンドドライブで2ゲームを先制するが、台から距離を取った徐晨皓に対しては決定力を欠き、強打にミスが出始める。3-1から3-3に追いつかれて勝負は第7ゲームへ。しかし、年長で試合経験も豊富な林高遠がスパートをかけ徐晨皓を引き離す。そして、苦しみながらも決勝への切符を手に入れた。
 
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<ネクスト馬龍とも言うべき豪打の持ち主樊振東、林高遠はまたも2位、范勝鵬は同士打ちで歯が立たず、徐晨皓は林高遠を追い詰めた>
 
 
【女子シングルス】朱雨玲が2年ぶり2度目の優勝
●女子シングルス決勝 朱雨玲 対 顧玉婷

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ブラチスラバ大会で石川を破って世界ジュニアチャンピオンの座に着いた朱雨玲。昨年、チームメイトの陳夢に奪われたそのいすを取り戻しにやって来た。一方の顧玉婷は決勝は2度目。2009年カルタヘナ大会では決勝で武楊に敗れて以来、谷岡に敗れて2回戦敗退、陳夢に敗れてベスト4とタイトルには縁がなかった。しかし、年々着実にそのスピード感あるプレーは威力と精度を増してきた。

試合は果敢に攻める顧玉婷を朱雨玲が受け止める形で進んだ。決して無理な攻めはせずに、台から出たボールには強烈な回転をかけたループドライブ、先に攻められたらコースを突いたブロックと甘いボールをカウンターという戦術に徹底した朱雨玲が主導権を握り、顧玉婷に試合をさせず。顧玉婷も動きは悪くないが、朱雨玲の粘り強いプレーにしびれを切らし、無理に強打したボールにミスが出るという悪循環。ラリーを見ていると顧玉婷がよく攻めている印象を受けるが、ポイントを重ねていくのは朱雨玲。朱雨玲の術中にはまった顧玉婷が、その罠から抜けられないまま4ゲームを連取されて初の決勝でチームメイトに苦杯をなめさせられた。
もちろん両ハンドの決定力は世界レベルだが、どちらかといえばラリー志向の朱雨玲がここまでの強さを見せるのは意外にも感じられる。しかし、サービス、レシーブ、台上技術やつなぎのボールの威力など、細かいところは高い技術レベルを持っていることに注目すべきだろう。次代の中国の中核を担う選手になることは間違いない。
 
 
●女子シングルス準決勝 朱雨玲 対 P.ゾルヤ
団体戦では顧玉婷を、シングルスでは劉高陽を破って準決勝に進出したチャイナキラーのゾルヤ。サウスポーから繰り出す打球点の早い低い弾道のバックハンド、そのバックハンドをワイドに打ち分け、チャンスをつくる。さらに今年はフォアハンドの決定力が格段にアップして隙のないプレースタイルに成長していた。それでも、朱雨玲が1枚上手だった。じっくりとゾルヤに打たせてからブロックとカウンターで応戦。第1ゲームは堅さの見られる朱雨玲に対し、積極的に攻めたゾルヤが10-8とゲームポイントを握るが、慎重なプレーの朱雨玲を攻めきれず逆転を許す。無理に攻めずに台と距離を取ってプレーする朱雨玲に対して、ゾルヤは決定力を欠き、強打をミスするシーンもしばしば。ゾルヤは打開策を見いだせないままストレートで敗退。最終日に唯一残ったゾルヤが敗れ、残りは中国選手のみ。試合の内容がハイレベルであることは間違いないが、味気ない最終日となってしまった。
 
●女子シングルス準決勝 顧玉婷 対 顧若辰
中国同士の同士打ちとは思えないほどの激しい打撃戦が繰り広げられた。小柄ながら前陣でパワフルな両ハンドを振る顧若辰に対して、顧玉婷はフィジカルの強さを生かして、動きまわって積極的にフォアハンドを振るプレー。加えて、今年の顧玉婷の特筆すべき点はバックハンドでも一発で決められるだけの威力が備わったことだろう。試合は両ハンドで高い決定力を持つ顧玉婷が顧若辰を圧倒し4-1で勝利。顧玉婷は3年ぶりの決勝進出となった。
 
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<試合巧者の朱雨玲が2度目の優勝、顧玉婷は成長の跡を見せたが……、ゾルヤは対中国の期待を一身に背負ったが……、顧若辰は顧玉婷に打ち負けた>

 

今大会の情報は国際卓球連盟(ITTF)、日本卓球協会ホームページにも掲載されています。
国際卓球連盟:http://www.ittf.com
世界ジュニア大会ページ:http://www.ittf.com/competitions/competitions2.asp?Competition_ID=2187&category=WTCJ
日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp


今大会の模様は卓球レポート2月号に掲載。

速報はツイッター(http://www.twitter.com/takurepo/)で配信中!(終了しました。お付き合いいただいた皆様ありがとうございました!)