大会報道

全日本卓球2015初日①〜元王者が全日本を語る「渋谷浩の眼」〜

2015.01.12

<全日本卓球選手権大会>

今日から1月18日まで東京体育館で平成26年度全日本選手権大会(一般・ジュニアの部)が開催される。試合に先立ち、平成11年度全日本選手権チャンピオンの渋谷浩が男女シングルス、ジュニア男女、ダブルスの展望を語った。

緊張感に包まれる特別な大会
 全日本選手権大会は選手たちにとって一年の集大成といえる大会です。選手たちはベストパフォーマンスを出せるよう大会前から準備を入念に行っています。選手によっては会場に慣れるために大会期間中、自分の試合がない日も会場で練習する選手もいます。今大会はプラスチックボールに移行して初めての全日本選手権ということもあり、試合に入るまでの準備の仕方によって勝敗が分かれる場面も出てくるかもしれません。  
 また、勝ちたいという選手たちの強い思いが交錯するため、常に緊張感に包まれた大会になります。毎年、スーパーシードの選手が初戦で負ける波乱がありますが、独特の緊張感があるため、初戦の入り方が難しく、選手たちにとっては初戦で自分の思い描いたプレーができるよう強い気持ちを持ち続けることが大切になります。


<男子シングルス>水谷隼をはじめとした実力者が優勝を争う
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 男子シングルスは昨年同様、ハイレベルな戦いが予想されます。また、力のある選手が各ブロックにそろっているため、ランキング入りをかけた戦いも非常に見応えのあるものになると思います。

 その中で優勝候補として挙げられるのは昨年優勝の水谷隼(beacon.LAB)です。もともと球際に強い選手でしたが、この一年間でこれまで以上に粘り強く戦うことができるようになりました。勝負どころでは速攻を仕掛けて得点を奪うなど、試合運びの上手さも備えているだけに優勝候補として挙げられるでしょう。水谷のブロックには学生チャンピオンの森薗政崇(明治大学)、大会優勝経験のある吉村真晴(愛知工業大学)といった大学生や高木和卓(東京アート)、笠原弘光(協和発酵キリン)ら社会人トップクラスの選手たちがそろっています。こういった選手たちが水谷に対してどのような戦いを見せるかにも注目です。

 第2ブロックは昨年ベスト4の上田仁(協和発酵キリン)、世界卓球2014東京日本代表の岸川聖也(ファースト)、松平健太(JTB)をはじめとした強豪がひしめいています。ランキング入りをかけた戦いも白熱することが予想され、松平はランキング入りをかけた5回戦(大会5日目)で日本リーグ屈指の実力者である張一博(東京アート)戦う可能性もあります。ブロック技術に長けている二人が戦うことになったときには、どのような試合を繰り広げるのかも見どころの一つになるでしょう。

 第3ブロックは昨年ベスト4の吉田海偉(Global Athlete Project)や昨年の世界ジュニア選手権大会男子シングルス2位の村松雄斗(JOCエリートアカデミー/帝京)らがそろっています。この大会を2度制している吉田は、現在、ポーランドリーグで活躍しており、その実力はまだまだ健在です。また、世界ジュニアで活躍した村松のほか、昨年ベスト8の坪井勇磨(青森山田高校)や酒井明日翔(JOCエリートアカデミー/帝京)といった若手が軒を連ねています。昨年のように若手が勢いに乗り、上位進出する可能性もあるだけに大会序盤から若手選手たちに注目してみるのもよいでしょう。

 第4ブロックは一昨年の優勝者である丹羽孝希(明治大学)をはじめ、昨年2位の町飛鳥(明治大学)、世界卓球2015蘇州男子日本代表選考会を制した吉田雅己(愛知工業大学)といった大学生が集まっています。この3人は中学から高校まで青森山田で共に戦ってきたチームメートであり、対戦することになったときには非常に注目が集まるでしょう。特に、吉田は昨年の選考会で優勝するなどドイツ・ブンデスリーガで着実に実力をつけており、その戦いぶりは必見です。その吉田に昨年6回戦で敗れた丹羽は悔しい思いをしているだけに、今大会では巻き返したいという思いが強いと思います。また、町は昨年のワールドツアー・グランドファイナルの21歳以下男子シングルスで優勝するなど、力をつけてきているだけに今大会でも上位進出が予想されます。こうした若手選手に対して、社会人チャンピオンの松平賢二(協和発酵キリン)や大矢英俊(東京アート)といった青森山田OBもそろっており、混戦を極めるブロックになるでしょう。

 また、今大会一般の部最年少で小学5年生の張本智和(仙台ジュニアクラブ)のプレーは大会序盤で注目を集めることになるでしょう。昨年、全日本選手権大会(カデットの部)の13歳以下の部で優勝するなど非常に高い技術を備えている張本がパワーのある選手たちに対して、どのように対応して戦うのかに注目です。


<女子シングルス>打倒・石川を目指し、ベテランから若手がしのぎを削る
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 女子シングルスでは、昨年女王の座に返り咲いた石川佳純(全農)を中心に優勝争いが繰り広げられることが予想されます。石川のこの1年の戦いぶりを振り返ると、多くの経験値を積んだことで相手の心理状態を推測しながらプレーできるようになりました。世界ランキング4位(2015年1月現在)という数字にも表れていますが、確実に勝利をつかむ安定感が身に付いたと思います。

 石川のいる第1ブロックには、石川のほかに加藤美優(JOCエリートアカデミー)、伊藤美誠(スターツSC)といった国際大会で活躍するジュニア選手が打倒石川を目指して上位進出を狙います。世界の舞台で戦うことで着実に力をつけている選手たちが上位に進出する可能性もあるでしょう。

 第2ブロックには昨年の世界卓球2015蘇州の代表選考会で優勝した平野早矢香(ミキハウス)や昨年ベスト4の若宮三紗子(日本生命)がいます。多くの経験を積む中で勝利に対する気迫や集中力などを培ってきた彼女たちが見せるプレーに注目です。また、このブロックには学生チャンピオンの丹羽美里(淑徳大学)、平野美宇(JOCエリートアカデミー)や芝田沙季(四天王寺高校)といった選手がそろっています。日本女子卓球界の中心として活躍する選手たちに対して若手選手がどのように立ち向かっていくかもポイントの一つになるでしょう。

 第3ブロックは上位進出をかけた争いが激しくなることが予想されます。優勝候補の一人でもあった福原愛(ANA)が欠場となったことで、森薗美咲(日立化成)や世界卓球2014東京の日本代表でもある田代早紀(日本生命)ら日本リーガーがブロックの中心になると思いますが。どの選手も実力が拮抗しているため、混戦必至のブロックになるでしょう。

 第4ブロックは世界卓球2014東京で活躍した石垣優香(日本生命)や昨年2位で同じく世界卓球2014東京の日本代表の森さくら(昇陽高校)らがいます。このほかに2014年世界ジュニア上海選手権大会で主軸として活躍した佐藤瞳(札幌大谷高校)、早田ひな(石田卓球クラブ)、浜本由惟(JOCエリートアカデミー/大原学園)ら力のあるジュニア選手もそろっています。昨年2位になった森のようにジュニア選手が上位に行く可能性も十分にあり、見どころのあるブロックになるでしょう。

 女子シングルスの注目ポイントとして挙げられるのはジュニア選手の台頭です。多くの若手選手がスーパーシードに入っていることからもわかるように、ジュニア選手が上位に進出する可能性がおおいにあります。技術もさることながら精神的な面でも数々の国際大会への出場により、経験を積んでいます。このような緊張感のある大会でも力を発揮することができるのではないでしょうか。若手選手に対して日本リーガーをはじめとした選手たちは守りに入らずに攻めの姿勢でプレーすることが重要になるでしょう。



<ジュニア男子シングルス>名門校とエリートアカデミーの選手たちが大会の軸に
 ジュニア男子では第1シードの三部航平(青森山田高校)が優勝候補の1人として挙げられます。安定感のあるプレーと幅広いプレー領域は厳しいトーナメントを勝ち上がっていくうえで大きな武器になるでしょう。このほか、第2シードの緒方遼太郎(JOCエリートアカデミー/帝京)をはじめとするエリートアカデミー勢や三部と同じく青森山田の及川瑞基や愛工大名電、野田学園といった名門校の選手たちが上位進出の中心になるのではないでしょうか。


<ジュニア女子シングルス>近年稀に見るハイレベルな争いに
 ジュニア女子はここ数年を振り返っても一番レベルの戦いになることが予想されます。昨年優勝で第1シードの加藤美優はオールラウンドなプレーが持ち味で、相手の隙をつくなど上手さのある選手です。今大会でも相手に合わせた対応力を武器にできるかが連覇には不可欠でしょう。そのほか、平野美宇や浜本といった昨年上位の選手に加えて、スーパーシードに入っていない選手の中にも実力者が多くいます。一般の部でもランキングを争えるくらいにレベルの高いプレーヤーがそろっているだけに大会序盤から注目して見てほしいと思います。
 

<ダブルス>大会の中で波に乗ることが上位進出のかぎ
 ダブルスではペアを組む選手たちのプレーがかみ合うことが一番大切です。そのため、大会の中でいかに勢いに乗ることができるかが上位進出のポイントになります。
 男子ダブルスは、昨年、森薗/三部ペアの高校生ペアが優勝しましたが、岸川/水谷や松平健太/丹羽ら日本代表ペアもいるため、実力が拮抗した中で優勝争いが繰り広げられます。その中でポイントとなるのは先ほど挙げた勢いに乗るということです。初戦から良い流れでプレーすることが上位進出に直結するでしょう。
 女子ダブルスは平野早矢香/石川が軸になって大会が進むでしょう。ロンドンオリンピックで銀メダル獲得の原動力になるなど、キャリアを積み重ねている2人が優勝候補として挙げられます。そのほかに平野美宇/伊藤の中学生ペアにも注目です。ワールドツアー・グランドファイナルで優勝するなど世界の強豪相手にも結果を出している二人のプレーには期待が集まります。勝ち進めば準々決勝(大会5日目)で平野早矢香/石川と当たる可能性もあり、好試合となるでしょう。
 混合ダブルスは、昨年初めてペアを組んだ張/森薗をはじめ、上位進出の常連ペアが中心になることが予想されます。吉村真晴/石川、松平賢二/若宮といった上位進出を何度も経験しているペアのプレーにも注目です。


記録・タイムテーブル等の情報は日本卓球協会ホームページに掲載されています。
日本卓球協会:http:/www.jtta.or.jp

各種目の組み合わせ(PDFが開きます)
男子シングルス
  女子シングルス
男子ダブルス  女子ダブルス
混合ダブルス
ジュニア男子    ジュニア女子

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全日本選手権大会の特集は卓球レポート3月号(2月20日発売号)に掲載します。