大会報道

世界卓球2015蘇州大会最終日⑦ 馬龍が打撃戦を制し初優勝!

2015.05.03

<世界卓球選手権大会>

世界卓球2015蘇州最終日、8日間の幕を閉じる男子シングルスの決勝が行われた。準決勝で樊振東を巧みな戦術で制した馬龍と安定感とスピードを兼ね備えたフォアハンドで張継科の3連覇を阻止した方博の戦いは、今大会の最後を飾るにふさわしいベストマッチとなった。
 

馬龍は悲願の世界タイトルを手に入れた
 
すさまじいフォアハンドドライブ
 
方博もフォアハンドで馬龍に拮抗
 
苦しい戦いを乗り越えて雄叫びを挙げた
 


<男子シングルス決勝>
馬龍(中国) 7,-7,4,8,-11,4 方博(中国)


いきなりハイレベルなフォアの打ち合いから始まった決勝。サービスを持った方博が3球目で回り込んでバックストレートに放ったボールを馬龍は距離を取って待ち構えクロスにカウンター。張継科を苦しめたボールを読んでいたことからも、馬龍が十分に準備をしてきていることがうかがえる。しかし、方博もフォア側にチキータを狙うなど、強気の攻めで6-4と優勢に。安定感では方博だが、威力では馬龍のたたきつけるようなフォアハンドドライブに分がある。馬龍は6点連取で10-6と逆転。方博はラッキーなネットインで1本しのぐが、勢いづいた馬龍はフォアドライブ連打で決めて11-7と先制。
第2ゲームは方博が回り込みたい馬龍の逆をついてフォア側にチキータでエース。方博は馬龍のフォア側にボールを集め、馬龍の足を止める狙い。しかし、馬龍はフォアハンド連打で攻め続ける。レシーブではチキータから4球目をストレートに抜くなど、樊振東を苦しめたバックハンドでも得点。方博も台から出た甘いサービスを見逃さずに攻撃して5-5から7-7と競り合いに。フォアの打ち合いでも真っ向勝負を挑んだ方博が2点連取して9-7とリード。フォアハンドの連打で馬龍を追い詰めゲームポイントを握ると、今度はチキータからのバックハンド連打で11-7と方博が取り返す。
第3ゲームはあらためてフォアで攻めると決意を固めたかのような馬龍がフォアドライブ連打で方博を攻め5-1とリード。さらに方博はサービスでフォルトを取られて表情が曇る。方博のロビングがエッジインして流れが変わるかと思われたが、馬龍は方博のバックストレートへのエースボールをまたしてもフルスイングのカウンター。11-4で馬龍が2対1とリード。
第4ゲーム、馬龍は早いバックハンドで連続得点。レシーブでは回り込んでフォアハンド連打と多彩な攻めを見せる。方博の鋭いドライブにも手を伸ばし、1本では抜けない。方博は馬龍のチキータをバックハンドカウンターして4-3と逆転。5-5から馬龍の4球目で回り込んだフォアハンドが方博のミドルに決まったところで、流れを止めたい方博がタイムアウトを取るも、タイムアウト明けの方博のサービスが台から出て馬龍がレシーブエース。この1本を落として、方博は気を落とした表情を見せる。勢いに乗る馬龍は9-5とリードを広げる。今度は方博がフォアフリックを鮮やかに決めて9-7と追い上げたところで、このゲームを確実にとって3対1としたい馬龍がタイムアウト。馬龍はまたしても回り込みフォアハンドで得点を決めて10-7。方博がバックハンドで馬龍のフォア側を抜いたかというボールに馬龍が飛びついて返球。このボールがネットインして得点に。馬龍が11-8で初優勝に王手をかける。
第5ゲーム、方博のサービスコントロールが甘く、馬龍はレシーブから強打で決める。吠える馬龍に対して方博の表情は冴えない。4-2から方博のレシーブミスで5-2。フォアハンドの打ち合いを制して6-2。いよいよ初優勝が見えてきた馬龍が十分に間を取る。ここで方博はストレートにロングサービスで鮮やかなエースを決めて4-6と追い上げる。しかし、方博はまたしてもフォア前のサービスに対してチキータミス。ストップからの展開でカウンターを狙う馬龍だがこれはオーバーミス。方博は2点差でついていき、大きな回り込みからのバックストレートで馬龍のフォア側を抜いて会場がどよめかせたが、その後のラリーですさまじいフォアの打ち合いを馬龍が制して9-7。勝利は目前だ。しかし、ここで硬さが出た馬龍に方博のフォアハンドが襲いかかる。9-9と追いつかれた馬龍が3球目をツッツいてまさかのオーバーミス。1本しのいでジュースに持ち込む。馬龍はチキータレシーブをフォア側に送り方博の逆を突いて初のチャンピオンシップポイント。しかしまだ方博がカウンターで食い下がる。
ここですさまじいフォアハンドの打ち合いで会場のボルテージはマックスに。方博が馬龍のバック側をついたボールが馬龍のラケットを弾き方博がゲームポイント。次の1本も方博がフォアで決めて2対3と追い上げる。
勢いづいてきた方博に対して、馬龍は明らかに動きが鈍い。しかし、自らを鼓舞するようにフォアドライブを振る馬龍が、覚悟を決めたか腰の据わったプレーでバックストレートに豪打を放ち5-3とリード。フォアフリックを決めて6-3。じっとしていられない馬龍は自分を落ち着かせようとコート内を走り回る。ここで方博が痛恨のサービスミスで馬龍は8-3とリード。馬龍の鋭いツッツキを方博がバックで持ち上げたボールを狙い打って馬龍が9-3。方博のロビングを打ちきって馬龍が7本のチャンピオンシップポイント。最後は馬龍のチキータに方博のバックハンドがネットにかかりオーバー。念願の初優勝を決めた馬龍は台に飛び乗ってガッツポーズを決めた。世界チャンピオン候補と呼ばれ始めてから何年がたっただろうか。メンタルの弱さや戦術面の未熟さを指摘され続けた「無冠の帝王」がようやく念願のタイトルを手に入れた。

付記しておきたいのは、この男子シングルス決勝がまぎれもなく素晴らしい試合だったということだ。それは2人が世界一を決めるこの舞台で最後まで実力を発揮し続けるメンタルとフィジカルの強さを兼ね備えていた選手だったからこそ可能だったのだ。そのような選手こそがファイナリストにふさわしいということを2人の試合は教えてくれたのではないだろうか。


 

今大会の模様は卓球レポート6月号(5月20日発売)に掲載

公益財団法人日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp
世界卓球2015蘇州/公式サイト(中国語/英語):http://www.suzhou2015.org/
国際卓球連盟(ITTF)世界卓球2015蘇州(英語):
http://www.ittf.com/competitions/competitions2.asp?Competition_ID=2503&category=WTTC