大会報道

元日本代表が世界卓球を語る「梅村礼の眼」⑨

2016.03.02

<世界卓球選手権大会>

世界卓球2016クアラルンプールでは、全日本チャンピオンの座に2度輝き、日本代表としても活躍した梅村礼がその鋭い目で見た世界卓球を語る。ここでは日本男子の第1ステージ5戦目となるポルトガル戦について話を聞いた。


ayazo.jpg 日本は、これまで2点起用してきて調子のいい大島を使わずに、水谷、吉村、丹羽というオリンピックを見据えたメンバーを起用してきました。丹羽はあまり調子がよくありませんでしたが、1位通過がかかったこの1戦で起用することで倉嶋監督が課題を与えたのかもしれません。
 アポロニアが吉村のサービスの出し方に対してナーバスになっているところがあり、アポロニアはレシーブで思い切って攻められませんでした。一方、吉村はサービスが効くことで思い切って攻めることができていました。ただ、ラリーになったときはほぼ五分五分の勝負でした。やはり、サービス、レシーブの良さで主導権を握った分、吉村が試合を有利に運ぶことができたのだと思います。吉村は1戦1戦の経験を生かして、この試合でもトップバッターとしてチームを勢いづける役割を果たしてくれましたし、うまく自分で調子を上げてきていると思います。
 2番は水谷対モンテイロでしたが、正直、この結果には驚きました。水谷が1ゲーム目をあまりに簡単に取ってしまったので、気が抜けたわけではないと思いますが、それ以降集中力が少し下がってしまったのかなという印象を受けました。足も止まりがちになっていましたね。逆にモンテイロの方は第1ゲームを大差で取られてしまって開き直って思い切り攻めてきたのを、水谷が受けてしまうという形になってしまいました。モンテイロは水谷のロシアリーグでのチームメイトだったこともあるので、それも手伝って思い切りプレーされてしまいました。本来なら水谷から点を取りに行くプレーがもっと見られたはずですが、守りから入ってしまっているように見受けられました。
 丹羽はフレイタスに勝ちましたが、この試合に限っては丹羽のプレーがよかったというよりは、フレイタスが悪すぎたというのが正しいでしょう。丹羽はサービスは得意ですが、サービス、レシーブ、3球目で終わることがほとんどでした。フレイタスはラリーに持ち込んで点を取るタイプの選手ですが、まったくラリーになりませんでした。シュラガーアカデミーでもフレイタスを見ていたことがありますが、ここまで調子の悪い彼は見たことがないほどひどい状態でした。やはり、世界選手権大会で自分がポルトガルを背負って立つというプレッシャーのせいなのかもしれません。丹羽がよくなっている部分もありましたが、それが計れないくらいフレイタスが悪かったということだと思います。
 4番は水谷対アポロニアでしたが、1ゲーム目は水谷が前半の負けを引きずっているなという感じでしたが、2ゲーム目の後半くらいから、声も出て、足も動き始めました。最後の方は、自分の距離でしっかり振れて、本来のプレーが戻ってきたという感じでした。よくないときは、相手の攻撃を受けてしまっているという傾向があると思います。2ゲーム目以降はしっかり自分で点を取りに行くところは取りに行く、相手に攻撃させてからカウンターするというメリハリがついたプレーができていました。その中でうまく緩急も使っていました。ただ、水谷はエースになってから団体戦でモンテイロ戦のような負け方をしたことがないと思うので、準々決勝からは気持ちを切り替えていって欲しいですね。
 課題だったベンチワークですが、今日はみんな負けられないという気持ちで、今までのなかで一番いい形でベンチも盛り上がっていましたし、昨日、今日とよくなってきていると思います。
 ここからは1戦1戦が負けられない、気の抜けない勝負なので、調子がいい悪いとかどこが痛いとかは言っていられない状況になってくると思います。第1ステージの5試合を経て、全員が1回は出場して、台の感触、会場の雰囲気をわかっていると思いますので、それを見越した戦術を立てる必要が出てくるでしょう。明日から台のレイアウトも変更しますが、日本はテレビコートの3番コートしか経験していないので、空調の影響なども見極めて試合に備えて欲しいと思います。


大会の速報はツイッターでも配信中! ツイッターアカウントをお持ちの方はぜひフォローを!
http://www.twitter.com/takurepo/

 

今大会の模様は卓球レポート4月号(3月20日発売)に掲載

公益財団法人日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp
世界卓球2016クアラルンプール/公式サイト(英語):http://www.perfectwttc2016.com.my/
国際卓球連盟(ITTF)世界卓球2016クアラルンプール(英語):
http://www.ittf.com/competitions/competitions2.asp?Competition_ID=2587&category=WTTC