大会報道

元日本代表が世界卓球を語る「梅村礼の眼」⑩

2016.03.02

<世界卓球選手権大会>

世界卓球2016クアラルンプールでは、全日本チャンピオンの座に2度輝き、日本代表としても活躍した梅村礼がその鋭い目で見た世界卓球を語る。ここでは日本女子の第1ステージ5戦目となるドイツ戦について話を聞いた。


ayazo.jpg  1番の石川はシルバーアイゼンの打つ気を削ぐようないいプレーをしていました。両サイドの得意なシルバーアイゼンに対して、徹底的に相手のミドルに緩急をつけたボールを集めていました。サービスの長さのコントロールも的確でした。ハーフロングで台から出るか出ないかのサービスを多用して、相手に100%で打たせないようにしていましたから、そのあたりは本当に上手だなと思いながら見ていました。
 2番は福原対P.ゾルヤでした。P.ゾルヤはドイツのエースで、バックハンドの非常に強い選手です。ですが、福原はゾルヤのバック側にボールを集めてしまって、先に緩急をつけられたり、コースを突かれたりしてしまいました。本来であれば、フォア、ミドル、もう1本フォアという形でゾルヤのフォア側を中心に攻めるべきだったと思います。福原は点数が取れないと無理に強打をしてミスをするという悪循環に陥ってしまいました。P.ゾルヤのお姉さんのA.ゾルヤがフォア面ツブ高ラバー、バック面アンチラバーという変則的な選手なので、異質型プレーヤーには慣れているので、好きなようにやられてしまったなという感じです。
 1対1で迎えた3番は伊藤対ヴィンターでした。3ゲーム目でヴィンターが3-0とリードしたところから、勝ちを意識したのか、仕掛けるのが速くなり、打ち抜こうとして自滅してくれたので、伊藤が盛り返すことができました。4ゲーム目は伊藤の得意な相手を振り回すプレーができていました。ヴィンターのような選手と試合をするときは、とにかく100%で打たせないようなコース取りが大事になってきます。伊藤はもっと前後のゆさぶりを使ってもよかったかもしれません。
 4番の石川対ゾルヤは、石川がテレビの実況の声を気にするシーンがありました。サウスポー同士の対決ですが、バック対バックではお互いに自信があったのだと思いますが、石川がもっとミドルやフォアを攻めて先手を取って欲しかったところですが、逆に、先に緩急をつけられて振り回される展開が多かったように見受けられました。第4ゲームの終盤は石川が思いきって回り込んだり、ミドルを攻めたりといいプレーで波に乗ったかと思いましたが、最終ゲームはゾルヤが開き直っていましたから、何を打っても入ってしまうという状態になってしまいました。ゾルヤの方はバックハンドで叩く威力のあるボールがあるので、その分石川はタイミングを合わせづらかったのではないかと思います。
 ラストの福原対シルバーアイゼンは、福原に取って分が悪い対戦でした。この試合でもしっかり戦術を立てられているという印象を受けました。シルバーアイゼンはバック側にボールを集めて、チャンスボールを狙うという形で徹底的に攻められました。福原は相手のツッツキに対して、起こして入れるようなボールが多かったと思いますが、それを狙い打たれていました。以前であれば、もっと強いボールがあったはずです。それが今日は1本もなく終わってしまいました。そのようなボールがあるということを1本でも見せておけば、相手はもっと厳しいボールを送らなければと意識して、自分からミスしてくれることもあります。そのパターンで点数が取れない福原は回り込んでフォアハンドで攻撃しましたが、それを見計らったかのようにシルバーアイゼンはストレートを突いてきました。完全に相手に先を読まれた試合だったと思います。3番を取って、このような形で負けるというのは予想外でしたが、ドイツは戦術が徹底していた点がよかったのだと思います。
 エースの2人が敗れてしまいましたが、1位通過は決まっていたので、気持ちを切り替えて準々決勝以降に臨んで欲しいです。


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今大会の模様は卓球レポート4月号(3月20日発売)に掲載

公益財団法人日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp
世界卓球2016クアラルンプール/公式サイト(英語):http://www.perfectwttc2016.com.my/
国際卓球連盟(ITTF)世界卓球2016クアラルンプール(英語):
http://www.ittf.com/competitions/competitions2.asp?Competition_ID=2587&category=WTTC