大会報道

全日本卓球2017 女子シングルス準決勝・決勝 〜元王者が全日本を語る「渋谷浩の眼」〜

2017.01.22

<全日本卓球選手権大会>

大会最終日を迎えた平成28年度全日本選手権大会(一般・ジュニアの部)。平成11年度全日本チャンピオンの渋谷浩が女子シングルス準決勝と決勝を振り返る。

<女子シングルス決勝>
平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園) 6,10,-8,9,-9,6 石川佳純(全農)

 とにかく平野の攻めが圧巻でした。打球点が前のため、石川のサイドを切るような厳しいコースに両ハンドドライブが決まっていました。また両ハンドドライブのスピードが1年で格段に上がりました。以前はどちらかというと、ミスの少ない安定志向の選手でしたが、安定性はそのままで、そこにスピードが加わり、手が付けられないという感じでした。チャンピオンにふさわしい見事な試合でした。
  一方、石川としては終始余裕がない展開でした。自分から攻めるときも、常に相手に攻められるため、相当なリスクを負う必要がありました。石川はピッチの速いラリーが持ち味ですが、ピッチの速いラリーだと、平野の打球タイミングにあってしまうので、もう少し遅いボールもうまく使いたかったですね。気持ちを切り替えてまた次の試合に向かってほしいです。

<女子シングルス準決勝>
石川佳純(全農) 14,8,6,5 佐藤瞳(ミキハウス)
 石川のカット打ちが完璧でした。前半は打ち急いだ場面もありましたが、途中からは無理せず、深追いせずに、ボールを選んでカット打ちをしていました。相手の佐藤の特長はカットのスピードが速いことなのですが、そのスピードを利用して、回転のかからないボールを佐藤のバック側に集めていました。佐藤としては回転がかかっていないボールを切ることは難しいため、石川にチャンスボールが多くなりました。そのため、佐藤としては、もう少しカットのスピードを遅くしたかったですね。そうすると、石川も回転をかけざるを得ないので、また、違った展開になったでしょう。

平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園) 7,8,9,8 橋本帆乃香(四天王寺高)
 平野がカット打ち以外のところでうまく点をとっていました。具体的にはサービスからの3球目、相手のツッツキに対する強打、後ろから橋本がロングでつないできたボールをバックハンドで打ち抜くなどのプレーです。このようなパターンで得点ができると、カット打ちで得点するのは半分で良いという気持ちになります。そのため、終始落ち着いてプレーできていたと思います。一方の橋本は平野にやられたことの逆をやりたかったですね。具体的にはロングでつないだボールでミスを誘ったり、サービスでエースをとったりするプレーです。また、カット主戦型の選手としては失点するときは長いラリー、得点するときは短いラリーになるのが理想ですが、対平野戦ではこれが逆になり、得点するときは長いラリー、失点するときは短いラリーになってしまいました。このようなパターンになると、カット主戦型としては精神的なダメージが大きいため、思うようにリズムをつくることができません。橋本はこのパターンで試合が進んでしまったことが、自分のリズムをつくれなかった要因でしょう。