大会報道

インターハイ三冠王渋谷浩が見た豊田大会<3> 男女シングルス決勝・準決勝

2018.08.09

<インターハイ>

●男子シングルス決勝
戸上隼輔(野田学園) 10,13,-6,9 田中佑汰(愛工大名電)


男子シングルスの決勝は、サービス、レシーブ、3球目、4球目の台上のせめぎ合いからの、非常に激しい争いでした。ラリー戦にはなりませんでした。先に仕掛けて、カウンターするかどうか、それが高確率で決まるかどうか、終始そのような展開でした。
台上の両ハンドのドライブでは戸上に軍配が挙がり、カウンターの精度では田中の方が優れていました。この試合は、ストップ対ストップの展開が多くなりました。ストップに対しては基本的に戸上は攻撃できるボールはバックハンドでもフォアハンドの台上ドライブでもできるだけ攻撃して先手をつかもうとしていました。また、ストップはもちろん相手に攻撃させないための技術ですが、低く厳しいストップをあえて打たせて、甘いボールが返ってくるように仕向けるような「攻めのストップ」は戸上の方が多かったです。一方、田中は戸上にあえてチキータをさせてそれをカウンターで狙うというプレーが目立ちました。
戸上の得点源になっていたのがフォアハンドドライブです。台から出るかでないかのボールに対して、田中は基本的につなぐ、戸上は一発で決めに行くという差がありました。

また、バック対バックでは、田中の方が安定していて有利だったので、戸上がフォアを多用したということもあると思います。ただ、バックストレートへのバックハンドの威力では戸上が優っていたと思います。この田中のフォア側への厳しいボールから戸上のフォアハンドに結びつけるという戦術が有効でした。

戸上は野田学園勢としては初のシングルスタイトルですが、今大会は特に学校対抗(準々決勝敗退)や男子ダブルス(4回戦敗退)で悔しい思いをしていた分、シングルスは勝ちたいという強い気持ちも出ていたと思います。逆にその気持ちが強すぎて、準々決勝などは強引なプレーが目立ちましたが、トータルで考えたら、そういう悔しさをバネにできたのはよかったんじゃないでしょうか。


●男子シングルス準決勝
戸上隼輔(野田学園) 9,9,6 手塚崚馬(明徳義塾)

準決勝の手塚戦は戸上が力で押し切りましたね。男子は手塚のようなフラットで強打してくるボールを取り慣れていないので、脅威であることは確かですが、それを力でねじ伏せたという試合でした。


●田中佑汰(愛工大名電) -11,6,9,8 金光宏暢(大原学園)

田中対金光は、田中の抜群の安定感と金光の一発の威力と意外性という戦いになりましたが、田中が確実性が大きく上回っていましたね。金光は点の取り方は派手ですが、要所でのポイントは田中が確実に抑えていました。


●男子のプレーの傾向

男子は、大きな変化はありませんが、ここ数年どんどんプレーが速くなってきています。特にドライブ対ドライブの引き合いは少なくなりましたね。大きなラリーになっても、すぐに前に戻ってフォア側のボールにもバックハンドで対応するなど、打ち合いに付き合う選手が少なくなってきています。また、去年も言いましたが、ブロックする選手はより減ってきています。相手のドライブに対して、ブロックでただ止めるだけになってしまうと一気に不利になってしまうので、カウンター対カウンターのようなラリーが増えました。

また、決勝を見てもらえば分かると思いますが、台上のレベルがものすごく高かったですね。一時期はチキータ一辺倒で、強くチキータした方が有利という傾向がありましたが、今はストップも見直されていて、サービスの配球もみんな工夫するようになりましたね。チキータをさせない、あるいは、あえてさせてカウンターを狙うなど、レベルが高くなっていると思います。



●女子シングルス決勝
野村萌(愛み大瑞穂) 10,4,6 塩見真希(四天王寺)


意外と言っては失礼になりますが、野村の方が塩見を振り回す展開が多く見られました。野村はバックハンドの緩急の使い分けがすごくよかったですね。特に、緩・急の急、速いボールの使い方が冴えていました。相手のツッツキを一発で抜き去るバックハンドは見応えがありました。一方の塩見は、緩急があまりなく、一定の距離で野村にプレーさせていました。もう少し強弱を付けた方がよかったでしょう。
野村は競り合いになった1ゲーム目を取ったことで勢いに乗ってプレーしてそのまま最後まで押し切りました。


●女子シングルス準決勝
野村萌(愛み大瑞穂) 8,10,14 相馬夢乃(遊学館)


野村はほぼパーフェクトな戦い方だったと思います。フォアにゆるいストップで前に寄せて、バックハンドにクロスで攻める。フォアハンドスマッシュもよく決まっていました。相馬にしてみれば、台との距離がずっと不安定で、自分のプレーがさせてもらえませんでした。一定のカットができないと調子が上がっていかないんですね。距離が変わると変化もつけにくくなります。野村はその辺をうまく突いていました。


●女子シングルス準決勝
塩見真希(四天王寺) 8,13,9 高山結女子(札幌大谷)


高山はスケールの大きな両ハンドドライブでいい卓球をする選手だと思いましたが、やはり、塩見の方が安定感があり、左右をうまく突いてミスを誘っていました。


●女子のプレーの傾向
女子は決勝が異質型同士の決勝になりましたが、カット主戦型の相馬もベスト4に入るなど、例年のことながら、男子に比べて多様な戦型の選手が上位に勝ち進むことができます。つまり、女子の方がいろいろなタイプの選手にチャンスがあると言い換えることができると思います。

 

 

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渋谷浩

平成11年度全日本チャンピオン
第52回インターハイ名古屋大会(1983年)
学校対抗優勝(熊谷商業)、男子シングルス2位、男子ダブルス優勝
第53回インターハイ横手大会(1984年)
学校対抗優勝(熊谷商業)、男子シングルス優勝、男子ダブルス優勝
第54回インターハイ鶴来・野々市大会(1985年)
学校対抗優勝(熊谷商業)、男子シングルス優勝、男子ダブルス優勝

 

 



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(写真/文=佐藤孝弘)