技術/戦術

【特別企画】Q.なぜ、ボルは強いのか? 最終回 ボルからのメッセージ

2018.10.23

<技術特集>

【特別企画】
Q.なぜ、ボルは強いのか?
最終回 ボルからのメッセージ


 2018年3月の世界ランキングで1位に輝いたティモ・ボル(ドイツ)。若手が次々に頭角 を現し、ルール変更が繰り返される中にあって、37歳になったボルの強さが色あせないのはなぜか。この特別企画ではその理由について、ボルと練習や試合を 重ねてきた岸川聖也(ファースト)の証言をもとに、ボル本人の自己分析を交えながら明らかにする。
 今回は、「ループドライブからの両ハンドドライブ」というボルを象徴するパターンにスポットを当てよう。


 

■ボルの両ハンドに対する考え方
両ハンドを同じように高めることが重要
ただし、ミドルはフォアハンドで対応する

 

 これまで紹介してきたように、質の高いドライブをフォアハンドとバックハンドの両ハンドで同じように操れることがボルの大きな強みだ。初めに、ボルの両ハンドに対する考え方を紹介したい。
「卓球はどんどんスピードが速くなっているので、フォアハンドまたはバックハンドのどちらか片方だけでは対応できません。高いレベルで勝つためには、どちらも同じように打てなければなりません。世界のトップ選手は、両ハンドを同じように打つことができます。強くなるためには、弱点があってはいけません。フォアハンドもバックハンドも、同じくらい集中して練習することが大切です。
 ただし、もし選択できるのであれば、常にフォアハンドで打つようにしましょう。フォアハンドの方がバックハンドに比べてパワーが出るし、コースも打ち分けやすいからです。また、ミドル(体の正面あたり)に来たボールに対してもフォアハンドで打つように心掛けてください」
 両ハンドの精度を同様に高めつつ、チャンスボールとミドルに来たボールは可能な限りフォアハンドを使うというボルの考え方は、多くの指導者や選手が異口同音に唱えており、現代卓球のセオリーとして読者もよく知るところだろう。しかし、このセオリーの重要性を誰よりも自覚し、忠実に実践しているからこそ、ボルは長く世界のトップで活躍できるのだ。

 



■ボルからのメッセージ
責任感を持ち、100パーセント
集中して練習に取り組む


 最後は、ボルから、強くなりたいと願う選手へ宛てたメッセージを紹介する。シンプルかつ的を射た言葉の数々から、強くなるためのヒントをつかんでほしい。
「すべてのチャンス、すべての練習を強くなるために使わなければなりません。私が小さい頃、集中力をキープすることはとても難しいことでした。しかし、常に集中し、常に100パーセントの力を発揮することに慣れていかなければなりません。
 誰かのせいにしてはいけません。疲れたり、うまくいかなくてショックを受けたりすることもあるでしょう。でも、それはすべて自分のせいです。ほかの誰のせいではありません。それを自覚し、自分の背中を押す責任感を持つことが練習に集中し、常に最高の力を発揮するためにはとても重要なことです。
 100パーセント集中できるときにだけ練習してください。そうでなければ、変な動きになり、その変な動きが身に付いてしまいます。それは、好ましいことではありません。常に良質の練習を心掛けましょう。それができなければ、筋力トレーニングを行ったり、休みを取ったりして、別のことをしてください」
 思うようにいかなくても責任感を持ち、100パーセント集中して練習する。この積み重ねによってボルは強さを磨いてきたし、これからも世界のトップで在り続けるに違いない。


 

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(取材/文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘 動画=小松賢)